


また野球がしたい―。徐々に全身の筋肉が動かなくなる難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患う富津市の佐久間大和さん(33)の思いに少しでも寄り添おうと、一緒に白球を追った同級生や野球部OB会が激励試合を開いた。「ありがたいの一言ですね」。みんなが楽しそうにプレーするグラウンドを車椅子から見つめた佐久間さん。野球を通じて得た仲間を心の支えに病と向き合う。
佐久間さんは高校名が変わった2003年に木更津総合に入学。野球部はその年の夏、甲子園の土を踏んだ。俊足が持ち味だった佐久間さん。先輩たちと同じ夢舞台を目指したが、最後の夏は千葉大会準決勝で拓大紅陵に逆転負け、夢破れた。大学を経て電気・消防設備の仕事をしながら草野球を楽しんでいた。
◆18年に手指に異変
体の異変を感じるようになったのは18年ごろ。手の指が"つる"ようになった。疲れているだけと思っていたが頻発するようになり、19年6月に整形外科で手の神経が圧迫されている疑いがあると診断された。すぐに治ると思っていたが回復せず、いくつか病院を回ってみても確定的な病名は分からない。20年1月に検査入院した時には思うように腕が上がらなくなっていた。
一人で着替えができなくなった5月、鴨川市の病院でALSと告げられた。「生きていく気がしなかった」
富津市の自宅で両親と祖母、妻、3人の子どもと暮らす。1階が店舗のため外階段を上がった2階が住まい。訪問リハビリやヘルパーの介助を受け、外出は月1回の通院の時だけ。ゆっくりと歩けるが、日に日に太ももが細くなっていくのが分かる。
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