2020年7月15日 05:00 | 無料公開

公園入口にある高さ17メートルの「躍動の門」が強烈な存在感を放つ

ユニークな形状の「五大陸」は鑑賞者の想像力を刺激する
浦安市舞浜地区にある非日常空間と言えば、誰しも東京ディズニーリゾートを思い浮かべるだろう。そこに隣接する市運動公園は20世紀の日本を代表する前衛芸術家、岡本太郎(1911~96年)が手掛けた巨大彫刻を擁する「もう一つの非日常」とも言うべき場所。だが、ディズニーの存在に隠れ、広くは知られてはいない。
彫刻は市が依頼し、93年に設置。中でも公園入口にある「躍動の門」(高さ17メートル、幅10メートル)が強烈な存在感を放つ。植物の芽のように大地から伸びる白い門には、力強く、かつしなやかに全身を動かす5体の人間が配され、運動の場にふさわしい生命力と岡本らしい奇妙な味わいを併せ持つ。岡本は「ここは、もの皆全ての生命が躍動する喜びの広場」との言葉を残している。
門から園内に延びる通りを歩くと、丸みを帯びた五つの白い物体が並ぶ「五大陸」にたどりつく。これがユーラシアで、あれがアフリカで…と想像しながら鑑賞すると楽しい。老朽化に伴い、現在立ち入り禁止となっているのが少々残念。
園内にある体育施設内には、岡本がデザインした64年東京五輪の参加記念メダルを巨大化した複製レリーフも展示されている。
岡本のシュールな表現は「夢と魔法の王国」とは全く方向性の異なる非日常感に満ちている。ディズニーを訪れた人も、そうでない人も、一歩足を延ばして岡本の独特の世界観に浸ってみてはどうだろうか。(平口亜土)