中傷負けず再開へ奮起 営業自粛中「シメロ」の貼り紙 SNSで応援の声相次ぐ 八千代の駄菓子屋

たくさんの励ましの声に支えられ、営業再開へ思いを新たにする村山さん=八千代市
たくさんの励ましの声に支えられ、営業再開へ思いを新たにする村山さん=八千代市
何者かが貼り付けた文書。「オミセ シメロ」などと記されている
何者かが貼り付けた文書。「オミセ シメロ」などと記されている

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、自主的に営業を取りやめている八千代市桑橋の「駄菓子屋まぼろし堂」に、店を閉めるよう求める文書が何者かによって貼り付けられた。店長の村山保子さん(74)らは心ない行為に肩を落としたものの、会員制交流サイト(SNS)などを通じて寄せられた「許せない」「負けないで」という励ましの声に支えられて奮起。「また店が子どもたちでいっぱいになってくれるといいな」と営業再開を願っている。

 店は2012年9月、現在地でオープン。東日本大震災を契機に故郷の同市に戻った村山さんの次男(45)らが竹林を刈るなどして整備した。駄菓子を売るだけでなく、ベーゴマや竹馬など昔ながらの遊びを通じ、知らない子ども同士が仲良くなれる特別な空間を提供する。定期的に開かれるイベントも盛況だ。

 新型コロナの影響は2月ごろから徐々に出始め、3月に入ると客が急減した。感染拡大が続く中、換気の徹底などに加えて手持ちのマスクを無料配布する取り組みを続けたが、緊急事態宣言が出されるか否かの状況に、これ以上の営業継続は困難と判断。子どもの命を守るため、3月下旬から休業に入った。

 “事件”が発覚したのは4月28日。店の様子を見に行った次男が、敷地の出入り口の門に粘着テープで1枚の文書が貼られているのを見つけた。「コドモ アツメルナ オミセ シメロ マスクノムダ」。A4判の紙には、赤色のペンでこのように手書きされていた。

 一体、誰が―。一報を耳にした村山さんはひどく落ち込み、「何でこんなことをするのか…」と言葉を失ったという。

 店はツイッターで「誰もが辛いんだよね それでもこんな事をして誰かを叩いていい事はない 一生懸命に続けてきたものを、優しさのない言葉で傷つけないで」と投稿。すると、村山さんらの悲しみを知ったユーザーからさまざまな応援の声が上がった。

 「気にしないで」「頑張れ」「オミセ サイカイ ミンナノネガイ」。中にはオープン当時、小学生だった社会人からのメッセージも。店には心温まる言葉が並ぶ手紙がマスクとともに届けられ、励ましの電話は福岡県からも寄せられた。

 緊急事態宣言の期限が延長される中、営業再開の見通しは立っていない。再び店を開けるにも、店頭分の商品を新たに調達するだけで最低約20万円の費用がかかるという。それでも、たくさんの思いに支えられ村山さんらは奮起し、今は「8周年が迎えられれば」と前を向く。

 「また店が子どもたちでいっぱいになってくれるといいな」。周囲から「やっちゃん」と呼ばれ、親しまれている村山さんはこうつぶやき、我慢の自粛生活を続けている。当たり前にあった、それでいてかけがえのない日常が、いつの日か戻ることを信じながら―。


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