都会の海から新鮮魚介 来場歓迎、楽しむ場にも 船橋漁港 【ふさの国探宝】

船橋市沖の三番瀬で採れたホンビノス貝を水揚げする漁師(左)=9月30日、船橋漁港
船橋市沖の三番瀬で採れたホンビノス貝を水揚げする漁師(左)=9月30日、船橋漁港
ホンビノス貝など船橋漁港で採れる魚介類を扱う直売所「三番瀬みなとや」
ホンビノス貝など船橋漁港で採れる魚介類を扱う直売所「三番瀬みなとや」
船橋市沖の三番瀬で続くノリ養殖業で、水車と呼ばれる機器を使い、早朝からノリの胞子を養殖用の網に“種付け”する漁師の滝口さん一家=10月2日、船橋漁港
船橋市沖の三番瀬で続くノリ養殖業で、水車と呼ばれる機器を使い、早朝からノリの胞子を養殖用の網に“種付け”する漁師の滝口さん一家=10月2日、船橋漁港

 江戸時代に「御菜浦(おさいのうら)」として新鮮魚介を将軍家に納めた歴史のある船橋市沖の浅瀬・三番瀬。現在も都市部の街並みに溶け込む「船橋漁港」を拠点に、ホンビノス貝や日本一の漁獲高を誇るスズキ漁、ノリ養殖業が続いている。漁業関係者の“職場”だが、一般にも利用してもらおうと鮮魚・活貝の直売所が漁港内に設置され、定期開催する朝市は人気イベントとして定着した。また、港内にはプレジャーボートの係留施設があり、花火大会の打ち上げ場所になるなど「楽しむ場」としても活用されている。

 船橋市農水産課によると、船橋漁協は三番瀬を中心に「養殖業(ノリ)」「採貝漁業(ホンビノス貝、アサリなど)」「まき網漁業(スズキ類など)」「底引き網漁業(カレイ類など)」を行っている。

 かつてノリ養殖、アサリ漁が盛んだったが、ノリは漁師の廃業などで現在わずか4軒7人に。滝口利貞さん(72)、光宏さん(49)親子は「三番瀬のノリを絶やしたくない。意地で続けている」と廃業したり貝漁に転じたりする仲間を横目に、伝統的な船橋の漁法で養殖業を続ける。

 アサリの漁獲高は減少傾向ながら、補完するようにホンビノス貝が好調。船橋特産品としての地位を固めつつある。手を掛けずに資源が増えた“優等生”だが、2018(平成30)年度に減少に転じた。市農水産課は「ホンビノス貝の資源保護を考えないといけない段階に入った」と対策の必要性を指摘する。

 同市が漁獲高日本一を誇るスズキのブランド化も進み、鮮度を落とさないよう血と神経を抜く「瞬〆(しゅんじめ)」処理が奏功。15(平成27)年度に約911トンでおよそ3億9800万円だった漁獲量は、17年度は約583トンに落ち込みながらも、3億2千万円ほどと価値は上がっている。

 船橋漁港の利用は漁業関係者が中心だが、一般市民らを積極的に迎えようと、直売所「三番瀬みなとや」を設置したり朝市を定期開催したりして、足を運ぶ人は増えている。

 直売所では、ホンビノス貝とスズキを通年販売しているほか、アサリや三番瀬焼きのりなど船橋産の商品を売り込む。店頭では浜焼きのコーナーを設け、近隣住民がビールを片手に串焼きを味わう姿も見られるようになった。

 毎月開催の朝市では、魚介類のほか、船橋産の農産物や加工品も販売。朝市発起人で、活貝卸売業の内海金太郎社長(39)は「多くの人に船橋の港に来て、海を感じてもらいたい」と継続する意義を強調する。

 約10年前、不法係留されたプレジャーボート対策で県が港内に設置した係留場は、東京湾で県内唯一の公的施設。海を楽しむボート利用客からの人気は高いという。

 夏の花火大会では打ち上げ場所、観覧席としても多くの市民を受け入れる漁港は、漁業関係者だけのものではなく、一般市民らが楽しめる場としても利用価値が上がっている。

◇直売所と朝市 船橋市漁協の直売所「三番瀬みなとや」は、船橋漁港で水揚げされたホンビノス貝、スズキやアサリなどを販売している。店頭に「浜焼き」できるスペースも設け、串揚げやスズキの唐揚げなどで酒盛りも可能。営業時間は午前10時~午後3時、火・水曜定休。問い合わせは(電話)047(434)0668。また、鮮魚・活貝卸業者が中心となって定期開催している「船橋漁港朝市」も人気。スーパーでは入手できない魚も並ぶ。毎月第3土曜の午前9~11時開催。問い合わせは(電話)047(433)1125。

◇文・写真 船橋・習志野支局長伊澤敏和


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