
開発が進む千葉市美浜区の若葉住宅地区(幕張ベイパーク)で、千葉市は4月に開園する認可保育園について、居住者を優先的に入園させる制度を初めて適用することを決めた。同地区ではタワーマンション計6棟の建設計画があり、住民の増加で保育園入園の“激戦区”になることを避けるための策。居住者優先の認可保育園は首都圏初という。
同地区ではタワーマンション6棟計4千戸以上の建設が予定され、3月から1棟目への入居が始まる。千葉市は居住者の増加で局所的に保育需要が増大し、周辺が保育園入園の激戦区になる恐れがあると判断。待機児童対策の一環として、昨年10月、500戸以上の大規模マンション開発地区に認可保育園を整備した場合、マンション居住者が優先入園できるようにする制度を要綱として策定し、若葉住宅地区に初めて適用した。
市は、これまでも大規模マンションなどの開発事業者に保育園の整備について市との協議を求めてきたが、居住者の入園は保証されていなかった。このため、事業者にとって保育園の整備は入居希望者へのPR効果にとどまり、積極的な設置に結び付いていなかったという。
市が運営を支援する認可保育園の入園募集で、市民の住む地域を指定して優先入園させることはこれまでなかった。市は同様の取り組みを本年度から行っている大阪市を参考に検討してきた。
同地区の認可保育園は「(仮称)京進のほいくえんHOPPA幕張ベイパーク」。市は定員計70人の1次募集を既に締め切り、現在審査を進めている。市幼保支援課などは「入園の申し込みは市外からの転入者を中心に、マンションへの入居を予定している子育て世代が多かった」と明かす。
優先入園の対象外となった市民からは同制度に対し「不公平だ」とする声もあった。同課は「局所的な需要に応えるための対策。周辺の保育施設にしわ寄せがいき、入所希望者があふれてしまうのを防ぐためでもある」と理解を求めている。
千葉市内の他の地区での同制度適用は未定となっている。
若葉住宅地区(幕張ベイパーク) 美浜区の幕張新都心にあり、開発面積は17・5ヘクタールと首都圏最大級。三井不動産レジデンシャル(東京)などがタワーマンション6棟を中心に、商業施設や高齢者向け住宅などを備えたまちづくりを進めている。マンションの供給戸数は計4千戸以上となる予定で、計画人口は1万人。3月から1棟目の入居が始まる。2棟目は2021年3月竣工予定。