文豪芥川滞在の離れ現存 避暑地の面影今に伝える 「一宮館」(一宮町) 癒やしの宿 【房総老舗巡り 千葉県誕生150年】(16)

芥川龍之介が滞在した一宮館の離れ。国の登録有形文化財になっている=一宮町
芥川龍之介が滞在した一宮館の離れ。国の登録有形文化財になっている=一宮町
一宮館前を流れる一宮川のかつての光景(同館提供)
一宮館前を流れる一宮川のかつての光景(同館提供)
芥川ゆかりの宿、一宮館。ロビーでは芥川全集などを読むことができる
芥川ゆかりの宿、一宮館。ロビーでは芥川全集などを読むことができる

 九十九里浜の南端に位置し、かつて「東の大磯」とも呼ばれた一宮。別荘や旅館が立ち並び、白砂青松の海岸に誘われ多くの著名人が訪れた。一宮川の河口付近で1897(明治30)年に創業した一宮館は、当地での旅館開業の先駆け的な存在と言われる。文豪・芥川龍之介(1892~1927年)が滞在した離れが今も残り、芥川ゆかりの宿として親しまれている。

 明治30年は両国-一宮間に鉄道が開通した年で、一宮が避暑地として栄えるきっかけになった。同館はこれを見越して創業したとみられ、近年、地元の名士に宛てた「開業通知」の文書が見つかった。

 所蔵する一宮町教委によると、同館は開業記念の式典のようなものを催したらしく、船でこの名士を迎えに上がると記されていた。昔の一宮川は、上総一ノ宮駅近くの船着き場から同館がある海岸付近まで船が往来し、客を運ぶ情緒ある光景が広がっていた。

 そんな同館 ・・・

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