
8月4日は「栄養の日」。バランスの取れた食事は免疫力の高い健康な体をつくり、夏バテ防止や感染症予防にも役立ちます。さらに栄養は重要視されているSDGsの達成に欠かせません。今年は梅雨明けも早く、猛暑の日が多くなっています。どのような食生活を心がければ夏を健康に過ごせるのか、千葉県栄養士会の杉﨑幸子会長に話を聞きました。
―栄養の日の由来について教えてください。
杉﨑 7月31日栄養改善法公布(1952年)、8月1日公益社団法人日本栄養士会設立(2012年)、8月2日健康増進法公布(02年)など、栄養、日本栄養士会に関連する記念日が多くあるこの時期に、皆さまに親しみを持っていただこうと、8(エイト)と4(よん)で「えいよう」の日として16年に制定しました。
栄養の日は当初、栄養士がスーパーマーケットなどに出向いて食事の指導や相談を受けていました。コロナ禍以降は、栄養士が考案した免疫機能を低下させないで感染症予防に役立つ食事「予防めし」をインスタグラムで発信して、多くの方々にアクセスいただいています。
―新型コロナをはじめとした感染症対策として食事で免疫力維持は可能ですか。
杉﨑 細菌を体の中に入れずに排出するのが自然免疫で、栄養状態が悪くなると機能が低下します。免疫力の維持にはいろんな栄養素をちゃんと食べることが大事です。
夏に旬を迎える新鮮で色の濃い野菜がオススメです。トマト、ゴーヤー、オクラ、カボチャなどに健康に役立つ成分が多く含まれています。
ナシなど夏のフルーツもいいでしょう。県内各地で栽培されているブルーベリーは、抗酸化作用に優れたアントシアニンが豊富に含まれています。
―ご自宅でも免疫力維持の料理を心がけているのですか。
杉﨑 サイドメニューとして必ずゆで野菜を何種類か用意した「サラダバーセット」を並べています。野菜をゆでるとかさが減り、たくさん食べられます。例えば、両手のひらにいっぱいの生野菜もゆでれば片手のひらサイズ。水溶性のビタミンが減ってしまいますが、食物繊維を多く取れるメリットがあります。肉や魚を食べたら、同じぐらいの量の野菜を食べましょう。体内の不要なコレステロールや塩分などを食物繊維が排出してくれます。
また、揚げ物や甘い物を取り過ぎないように気を付けています。エネルギー量が高く、悪玉コレステロールが多くて肥満につながります。
―夏バテ対策や免疫力向上にオススメの料理はありますか。
杉﨑 ゴーヤーチャンプルーでしょうか。肉、豆腐、卵、野菜を使い、一皿で多くの食材を取れる発想がいいですね。卵や豆腐は健康を保つために必要な必須アミノ酸を含んでいます。豚肉に含まれるビタミンB1は糖質の代謝を助け、疲労回復効果がある栄養素です。暑くエネルギーを消耗する夏場にもってこいの食材です。
―理想の食生活について教えてください。
杉﨑 1日3回、バランスの取れた食事をしてほしいです。主になるおかずと小さいおかずがあって、ご飯と具だくさんの汁。これが理想です。
食事だけでなく、生活のリズムを整え、良い睡眠が得ることも大事です。ストレス解消につながり免疫力の低下を防ぐことができます。夏バテ対策、感染症対策にもなります。
―読者へメッセージをお願いします。
杉﨑 人の体は日々の食事で作られています。自分の健康状態を知り、考えて食べれば、日々の食生活で健康の維持増進ができます。バランスの良い食生活を心がけて、夏バテや感染症にならずに夏を乗り切りましょう。
<レシピ1>ゴーヤーチャンプルー
材料:2人分
ゴーヤー 1/2本
豚肉 80g
木綿豆腐 1/2丁
卵 1個
油 適宜
塩 小さじ1/4
こしょう 少々
しょうゆ 小さじ2
◆作り方
①ゴーヤーは縦半分に切り、種とわたの部分を取り除き、5ミリの半月に切る。塩(分量外)を振って軽くもみ、水につけておく。
②豆腐は水気を切り、縦半分に切り1センチ厚さに切る。
③豚肉は1口大に切る。
④鍋に油を熱し、豆腐の表面を焼くように炒めて取りだす。油をたし豚肉を炒め火が通ったら、水気を切ったゴーヤーを加えさらに炒める。豆腐をもどし味を調え、溶き卵を回し入れて、全体を混ぜる。
⑤器に盛り付け、好みでかつお節をかける。
◆コメント
ゴーヤーを塩でもんでから水につけておくと、苦みが抑えられます。にんじんや玉ねぎなど野菜を増やすといろどりが良くなります。
<レシピ2>冷しゃぶうどん
材料:2人分
ゆでうどん 2玉
豚肉 80g
キャベツ 80g(大きめの葉1枚)
にんじん 30g(細めのところ3cmくらい)
玉ねぎ 30g(1/4個)
トマト 1/2個
青ねぎ 2~3本
麺つゆ 100ml(好みで加減)(ストレートタイプ)
◆作り方
①豚肉は一口大に切る。キャベツはざく切り、にんじんはたんざく切り又はせん切り、玉ねぎは薄切り、トマトはくし形、青ねぎは小口切りにする。
②鍋にたっぷり目の水と切ったキャベツ・にんじん・玉ねぎを入れて火にかける。沸騰したら豚肉を入れ、浮いたアクを取り除き、うどんを入れる。うどんがゆで上がったらざるにとり、水で洗う。
③器に盛り付け、トマトと青ねぎをあしらい、麺つゆを注ぐ。
◆コメント
鍋一つで作ることができるので、料理時間の短縮になります。冷凍のうどんを使っても手軽にできます。冷凍のうどんを使う時は湯が沸騰した時点でうどんと豚肉を入れます。
<レシピ3>鶏肉の揚げ出し
材料:2人分
鶏もも肉 100g
しょうゆ 大さじ1
酒 大さじ1
片栗粉 大さじ2
なす 1個
おくら 3本
揚げ油 適宜
麺つゆ 60ml大さじ4(ストレートタイプ)
◆作り方
①鶏肉は一口大に切り、酒としょうゆで下味をつけておく。なすは乱切りにして水に入れアクを除く。
②おくらは縦に小さき切込みを入れ、熱湯でゆでてから半分に切っておく。
③鶏肉に片栗粉をまぶし170℃くらいの温度の油で揚げる。なすは水気をふき取り少し高めの温度の油で揚げる。
④器にあげた鶏肉となすを盛り、おくらをあしらい、麺つゆを注ぐ。
◆コメント
男性が考えた手軽に食べられる料理です。鶏のから揚げと、素揚げしたなすに麺つゆを注ぐことで、しつこさを感じないで食べられます。