晩秋の民家 暗いみそ部屋の記憶 絵・文 道塚元嘉 【民家の四季】

 朝晩はやや肌寒さを感じ、山々は人の手ではどう染めようもない美しい紅葉の季節を迎える。晩秋のゆるい日を受けて黄葉したように見えるかやぶき屋根のたたずまいには、どこか感傷を誘うものがある。その手の届かない軒下につるし柿がすだれのように並んでいる光景は、心に染みる農村の原風景であった。

 晩秋の夜長の時期は、夜に入 ・・・

【残り 1365文字】



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