自転車ヘルメット、通学許可の条件に 県立高などで方針 着用率全国下位常連の千葉県

高校生に自転車乗車中のヘルメット着用を呼びかける警察官=2023年2月、千葉市美浜区
高校生に自転車乗車中のヘルメット着用を呼びかける警察官=2023年2月、千葉市美浜区

 2023年度の道交法改正を機に努力義務となった自転車乗車用ヘルメットの着用率で千葉が全国下位の1割未満と伸び悩む中、県教委は自転車通学が増え始める高校生の着用推進へ取り組みを強化している。生徒主体での啓発動画の制作など当事者目線の活動を充実させるとともに、今年8月には自転車通学時に「必ず着用を求める」との方針を初めて示し、通学許可の条件とするよう県立各校へ通知した。こうした条件を定めるのは全日制のある118校で2校(5月1日時点)にとどまっており、一律の要請でより多くの生徒の安全意識を高め、着用率の大幅な向上につなげる。

(池田和弘)

 「全ての県立高校生に対して、自転車通学の際、必ずヘルメットの着用を求める」。9月定例県議会で杉野可愛教育長は、石川亮議員=千葉新政策議員団=の質問に答える形で、特別支援学校などを含む県立校で着用を「義務」とする県教委の方針を明らかにした。

 本来は努力義務にもかかわらずここまで踏み込むのは、着用率の低迷に対する強い危機感があるからだ。

 努力義務化した23年度に始まった警察庁の調査によると、本年度の着用率(成人を含む)は全国47都道府県でトップをひた走る愛媛県が70・3%なのに対し、千葉は7・9%(全国平均は21・2%)でワースト4位。昨年度は同2位に落ち込むなど3年連続で下位から抜け出せず、23年度と比べてもわずか1・5ポイント増と伸び悩む。

 別の調査では、県内公立高校生の着用率は8・9%(今年5月1日時点)に上昇したが、県教委はなお低水準にあるととらえ、改善へ「全ての県立学校生に必ず着用を求める」方針を打ち出すと決定。その上で、これまで各校に通学許可条件として「検討をお願いする形」(県教委児童生徒安全課)だった姿勢を改め、許可届出時の順守事項などに「自転車通学時はヘルメットを着用すること」などと明記するよう通知した。

 通知では「各学校の実情に応じ、準備が整い次第速やかに」と付記し、校則等の見直しに合わせて来年度には全校で「義務化」にかじを切ってもらう想定だ。

 同課担当者は、類似の取り組みで「先進地」として知られる愛媛などを参考にしたと説明し、今回の方針で明確にした着用義務について「生徒や保護者はもちろん、これから入学する中学生にも知ってほしい」と話した。


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