ストレス耐性に関わる物質発見 京大、うつ病治療に期待

実験でストレスを与えられたマウス(京都大提供)

 ストレス耐性に関わる脳内のタンパク質をマウスで見つけたと、京都大の内田周作特定准教授らのチームが14日までに米科学誌に発表した。ストレスに弱いマウスはこのタンパク質の量が少なかった。人にも同様のタンパク質があり、チームは「ストレスが引き金となるうつ病や不安障害の新たな治療法の開発が期待できる」としている。

 チームによると、ストレスに強いマウスと弱いマウスで実験。体格が大きく攻撃的なマウスと1日当たり5分間同じ籠に入れ、5日間ストレスを与えた。

 その後、再び攻撃的なマウスと同じ籠に入れると、ストレスに弱いマウスは籠の隅で動かなくなるなど人のうつ状態と同様の行動をとった。脳を調べると、ストレスに強いマウスとは異なり、特定部位の神経活動が著しく低下。さまざまな遺伝子の働きを調節するタンパク質「Fos」の量も大きく減少していた。人為的にこのタンパク質の量を増やすと、ストレスへの耐性を示すようになった。

 うつ病患者も脳でこのタンパク質の量が減少しているという。


  • Xでポストする
  • LINEで送る