南房総に新種甲殻類 「ヨツスジテングクモエビ」 千葉県中央博、大房岬沖の深海で発見

千葉県立中央博物館で発見された新種「ヨツスジテングクモエビ」(同博物館提供)
千葉県立中央博物館で発見された新種「ヨツスジテングクモエビ」(同博物館提供)

 千葉県立中央博物館(千葉市中央区)の駒井智幸動物学研究科長が、南房総市沖の深海から新種の甲殻類を発見した。クモエビ科テングクモエビ属で、四つの縦筋があることから「ヨツスジテングクモエビ」と命名。生態はほとんど分かっておらず、今のところ、この新種は同博物館が標本で保管している1個体しか発見されていない。

 駒井さんは国立科学博物館が中心になって2001年~05年に相模湾周辺で「刺網漁」や「かご漁」を利用した生物相の大規模調査に参加。02年3月に南房総市沖の水深約250メートルから採取し保存していた生物標本資料の中から今回の新種を見つけた。

 新種は脚が10本あるエビやカニ、ヤドカリなどの仲間で、全体に薄いピンク色をしている。甲長は12・5ミリ。クモエビ類の分類学的な研究はここ数年で大きく進展しており、脚の表面や甲羅側面にあるトゲの形態などから新発見と確認された。雌とみられ、約30個の卵を持っていた。駒井さんの論文が5月発行の動物分類学の専門誌「Zootaxa(ズータクサ)」(ニュージーランド)に掲載された。

 駒井さんによると、テングクモエビ属はこれまで世界で13種が認定されており、今回が14種目。うち8種が日本周辺の海域で見つかっている。同海域でのテングクモエビ属の多様性はまだ十分に解明されておらず、これからも新種が見つかる可能性が高い。今後も館山沖や伊豆沖で採取されている資料の研究を進めていく予定。

 相模湾周辺は近年、他にも多くの海産生物が見つかっており、まだまだ未知の生き物がいることは間違いないという。駒井さんは「目の前に広がる房総の豊かな海に思いを寄せてほしい。新型コロナウイルス禍が収束したら、ぜひ今回の新種を展示したい」と話した。


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