人気パン店、復活を決意 常連客が背中押す 房総豪雨1カ月 茂原

房総豪雨で床上浸水の被害を受けた店内は閑散としていた=22日午後5時5分ごろ、茂原市高師
房総豪雨で床上浸水の被害を受けた店内は閑散としていた=22日午後5時5分ごろ、茂原市高師

 茂原市高師地区にあるパン店「UN PONT,UN(あんぽんたん)」は、房総豪雨で床上浸水の被害を受け、営業休止を余儀なくされている。君塚利和社長(52)は再建を諦めかけたものの、営業再開を待ち望む常連客や従業員の声を受け「また多くのお客さんが来るお店にしたい」と、香ばしいパンの香りが漂う人気店の復活を目指している。

 茂原では豪雨により市内を流れる一宮川や豊田川などが氾濫。市の集計では、3千戸以上の家屋への浸水被害が確認されている。

 同店は20年前、市内の八千代地区で開店。ただ、2013年10月の台風に伴う大雨で被害を受けたことから、高師地区の茂原街道沿いの現在地に移転して営業を続けてきた。近くには大型商業施設やスーパーなどがあり、市外からも客が訪れにぎわっていた。

 10月25日、君塚社長は店内に濁流が押し寄せる様子を目の当たりにした。午後3時ごろ、店の前の茂原街道は冠水し、水位はさらに上がっていく。店内に水が入り込むのを防ぐため、入り口の自動ドアを従業員総出で押さえた。

 だが、トラックが道路を通過した際、水が一気に押し寄せドアが壊れ、店内は水に漬かった。水位は膝の高さにまで達し、従業員のほか買い物に訪れていた客ら約10人をパンを陳列したり成形する台の上に避難させた。店は翌日まで孤立状態となった。

 豪雨発生から1カ月近くが経過した今月22日。近隣では営業を再開した店舗もあるが、同店の駐車場には水に漬かり使えなくなった冷蔵庫やオーブンが並び、活気のあった店内は閑散としていた。茂原に店を構えて20年を迎え、今月中に節目を祝うイベントを開催する予定だったが、中止せざるを得なかった。

 君塚社長は「また大雨被害を受けたら、店はたたもう」と考えていたという。だが、豪雨後に店を気に掛けて足を運んでくれた常連客から「またやるんでしょ」「いつ再開するの」と声を掛けられた。店の今後のことについて相談した従業員も「やりましょうよ」と即答してくれた。

 営業の再開は早くて年末で、年明けにずれ込むかもしれない。それでも、復旧作業に追われる君塚社長は「いつもそばにいる人たちが背中を押してくれた」と感謝し「もう少し時間がかかるけど、新たに生まれ変わったお店でまた再スタートしたい」と前を向いた。


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