2019年11月8日 05:00 | 無料公開

富津市の高宕山自然動物園で放し飼い状態となっているサル=7日午後
9月の台風15号の影響で、富津市豊岡にある高宕山自然動物園のサル用の柵が倒壊し、飼育していたニホンザル約100匹が約2カ月間にわたり、放し飼いの状態になっていることが7日、園を管理する市への取材で分かった。けが人は確認されていないが、出入りが容易なことから外来種・アカゲザルとの交雑が懸念され、予断を許さない状況となっている。
市や県によると、動物園は、サルの生息地として国の天然記念物に指定されている高宕山に隣接している。1959年に地元の観光協会が開設し、その後市が管理するようになった。
金網を張った高さ3メートル強の柵は9月9日の暴風でほぼ倒壊。約30年前に設置され老朽化が進んでいた。大半のサルは敷地内や近くの森におり、朝夕の餌やりの時間になると集まってくるという。7日も、サルは地面に倒れたままの柵を乗り越えて、追い掛けっこをしたり毛繕いをしたりしていた。
柵の倒壊を受け県が動物愛護法に基づき立ち入り調査し、補修するよう指導したが、市によると、台風15号で多くの住宅が被害を受けた本県では建設業者が足りず、具体的な復旧見通しは立っていないという。
市観光協会の担当者は「サルが危害を加えることはないと思うが、野放しの状態を早く解消したい」と話した。
一方、高宕山や園の周辺ではニホンザルとアカゲザルとの交雑が進んでおり、柵の倒壊で交雑の懸念が強まることに。市はニホンザルの保護のため、2016年度に園のサルをDNA鑑定し、アカゲザルとの交雑個体を外来生物法に基づいて殺処分した経緯がある。
市商工観光課は「今は繁殖期。交配の危険はあるものの防ぐ手だてはない」と頭を悩ませている。
千葉日報だけの「社会」記事を見たい方