千葉の酒窮地 仕込み遅れ 販売先被災 損壊20カ所超最古の蔵も 【台風15号】

根元から倒壊した木戸泉酒造の煙突。「台風でこんな甚大な被害は初めて」と語る荘司社長=25日、いすみ市
根元から倒壊した木戸泉酒造の煙突。「台風でこんな甚大な被害は初めて」と語る荘司社長=25日、いすみ市

 台風15号により千葉県内の酒蔵も大きな被害を受けた。長引いた停電を発電機でしのいだものの、販売先が被災して売り上げに影響が出たり、新酒の仕込み時期が遅れる見通しの酒造会社もある。県内で最も古い蔵元では酒造りの施設が大打撃を受け、営業再開のめどが立っていない。経営者からは「先行きが見えない」と不安の声も上がっている。

 県酒造組合(千葉市中央区)によると、組合に加盟する県内の酒造会社39社の施設では、20カ所以上で損壊を確認(24日時点)。江戸時代創業の蔵元もあり、古い建物での被害も報告されているという。

 君津市久留里市場の吉崎酒造は1624年創業、県内の蔵元では最古とされる。強風で明治時代後期に建てられた仕込みと貯蔵用の蔵の屋根に被害があったほか、米こうじを作る施設のトタン屋根も吹き飛び「空が見える状態」になった。

 ほかにも、瓶詰め工場が使えなくなるといった被害があり、吉崎明夫社長は「補修業者の手配ができず、何から手を付ければいいのか分からない」と嘆く。敷地内にはがれきが残り「通常営業の再開に向けて計画が立てられない」と話した。

 富津市竹岡地区の海岸近くにある和蔵酒造の酒蔵も屋根が被害に遭い、ブルーシートで補修したまま営業を続ける。9~17日まで停電が続き、何とか発電機を調達して一部の生酒を冷蔵した。商品への影響はほとんどなかったというが、主要な販売先である県南部の観光施設が休業しているため「売り上げが止まっている状態」(同社)という。

 酒造組合の大塚完会長が経営する鍋店(成田市)の神崎町内にある酒蔵でも、酒を瓶詰めにする設備の屋根が強風で飛ばされた。機械が風雨にさらされ、設備を分解して洗浄、消毒などの作業に1週間を要した。

 いすみ市の木戸泉酒造では、強風で高さ約20メートルのコンクリート製煙突が根元から倒壊。煙突は米を蒸すかまどとつながり、10月15日から始める予定だった新酒の仕込みは1カ月ほど遅れる見込み。荘司勇人社長は「人災がなかったことが不幸中の幸い」としながらも「仕込みが遅れ、新酒の出荷も遅れる」と肩を落とした。

◆がんばろう!合言葉に 来月、都内で復興イベント 千葉県酒造組合

 千葉県酒造組合は10月6日、東京・有楽町の東京交通会館で県内の日本酒を紹介するイベント「千葉の酒フェスタ2019」を開催する。台風15号で県内の酒造会社が被災する中、一時は中止も検討されたというが、関係者は「がんばろう!千葉」を合言葉に準備を進めて開催にこぎ着けた。

 都内でのイベントは今年で3回目となり、19社が出展する予定。個性豊かな千葉の酒を楽しめる「利き酒」ブースなどが設置される。酒造組合の大塚完会長は「こういう時だからこそ、復興支援の意味も込めて千葉の酒をPRする機会にしたい」と話している。

 一般向けは午後4時半~午後6時半。酒造組合ホームページからチケットを購入できる。問い合わせは同組合(電話)043(222)0686。


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