患者への補償困難か 院長「保険で返金」 千葉県歯科医師会は否定的 3歯科医院休診

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 千葉県内で3歯科医院を運営する「医療法人社団和洸会」(古谷充朗理事長)が医療法に従わず保健所に無届けで3医院を休診している問題で、古谷理事長が院長を務める「習志野台歯科」(船橋市習志野台)で、前払いした治療費の返金を求める一部患者に「保険で返す」と答えていたことが、28日までの千葉日報社の取材で分かった。ただ、千葉県歯科医師会は古谷院長に「医院の都合で診療継続できないケースは保険の対象外だろう」と説明しており、患者への治療費返還は厳しい見通し。

 関係者によると、今年2月9日に古谷院長が習志野台歯科に姿を現し、一部患者に応対。高額な歯の矯正治療費を前払いした患者らが「治療できないなら返金を」と迫った。

 古谷院長は「県歯科医師会で加入している保険で払う」と回答したため、その場にいた船橋市保健所職員が県歯科医師会に電話で確認。同医師会の担当者は「歯科医師会で加入してもらうような保険はない」と回答した。

 同医師会によると、歯科医師会独自の保険制度はなく、医療関係者らの多くは任意の「医師賠償責任保険」に加入しているという。ただ、医療事故・過誤に対応する同保険では、医院や医師の都合で診療継続できない場合には適応できないとし「対象外だろう」との見通しを伝えた。

 患者から相談を受ける保健所や消費生活センター、県歯科医師会などは、前例のない事態の対応に苦慮している。

 いずれも専用の「相談窓口」はなく、問い合わせに対しては「個別に弁護士に相談してもらうしかない」などと説明しているという。

 千葉日報社に28日、電話で窮状を訴えた女性(49)は「長男(12)の矯正治療費として約4年前に140万円を支払った。母子家庭で生活が厳しい中で、長男の将来を考えて治療に踏み切った。治療を続けるか、できないなら返金して」と声を震わせた。