2017年12月5日 05:00 | 無料公開
佐倉市で昨年7月、四街道市大日の無職、栗田容さん=当時(53)=が複数人から暴行を受けて死亡した事件で、傷害致死の罪に問われた建材業の男性被告(56)=栄町=の裁判員裁判の判決公判が4日、千葉地裁で開かれ、松本圭史裁判長は、実行犯とされる男たちとの共謀を認めず、無罪(求刑・懲役12年)を言い渡した。
公判では、栗田さんと口論になり殴られた男性被告が、周囲にいた男たちに栗田さんへの暴行をあおるなどし、共謀していたかが争点だった。弁護側は「殴るなどしておらず、一緒に暴行をしようという意思を通じ合っていたことはない」などと無罪を主張していた。
検察側は「周囲が男性被告に代わって栗田さんに暴力を振るっていたのを知りながら制止しなかった」など、共謀があったと主張していたが、松本裁判長は「暴行をあおる言動をしたと認められず、周囲が男性被告の意思と無関係に暴行を加えた可能性がある」と退けた。
男性被告は涙を流しながら判決に聞き入り、言い渡し後には裁判員らに何度も頭を下げ、弁護人と抱き合った。
判決を受け千葉地検は「判決内容を精査し、上級庁とも協議して適切に対応したい」とコメントした。
起訴状などによると、男性被告は仲間と共謀し同年7月24日午前0時ごろから同半ごろまでの間、同市上志津の駐車場などで、栗田さんに殴る蹴るなどの暴行を繰り返し出血性ショックで死亡させたとして、同罪に問われていた。