「再生土」環境基準超え 佐倉の4.8万立方メートル 千葉県、異例の全量撤去指導

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土壌から基準値超の鉛とフッ素が検出された埋め立て地。現在は一部がトラックなどの駐車場として使われている=14日、佐倉市神門(写真は一部加工してあります)

 佐倉市神門(ごうど)地区で「再生土」の使用をうたった大規模埋め立てを巡り、千葉県が現地を検査した結果、フッ素と鉛の濃度が国の環境基準を超え、事業者に全量の撤去を求める異例の行政指導に乗り出したことが14日、千葉県などへの取材で分かった。急増する「再生土」をうたった埋め立てに対しては、今回も含めて周辺住民から不安の訴えが頻発。森田健作知事は規制をかける千葉県条例の早期制定方針を9月に表明しているが、不安が現実となったことで対応が急がれそうだ。

 現場は国道に近い、休耕田や集落に挟まれた一角。

 県によると、船橋市内の業者が県に計画書を提出し、昨年10月から「再生土」として埋め立てを開始。約1万6千平方メートルの土地に約4万8千立方メートル分が搬入され、一部はトラックなどの駐車場に使われている。

 これに対し、生活環境の悪化を主張し、健康被害も不安視する複数の地元住民が今年の9月県議会に請願を提出。「埋め立て土壌から発生した異臭で窓が開けられない」「隣接休耕田に黒く異臭のする油のような水が浸入」などと指摘した上で、事態の改善と、検査の実施・結果公表を県に求め、請願は採択された。

 県は、9月中に現地の埋め立て土壌(深さ約1メートル地点の5カ所)を採取。その検査結果が10月下旬に判明し、フッ素の溶出量と鉛の含有量が環境規制基準の2倍強の濃度となった。

 再生土は、環境基準を超えないように浄化(再生)処理した素材であることが前提のため、県は、埋め立てに使われた物が資材扱いの再生土には当たらないと判断。すべての撤去を求めた。今月13日夕に同地区で住民への説明会を開いた。

 県は、搬入元の業者なども含めた詳しい経緯の調査を継続する。「住民の意見を聞きながら対応を進めていきたい」としている。

 一方、佐倉市が実施した周辺の水質検査では環境基準超えはないという。

 県は2015年9月から「再生土」の県内実態調査に乗り出し、昨年9月には行政指導上の指針を策定した。県が全量撤去を求めたのは同指針の策定後初。

 同指針では、計画書の提出や環境・地形面の安全基準順守などを求めているが、強制力や罰則はなく、指針に沿わないまま埋め立てを終える例も出ている。

 このため、打ち出されたのが罰則付きの県条例制定。県廃棄物指導課は「現在、規制の対象や内容について検討を進めており、早期の制定ができるようにしたい」と説明した。 

 強制力を伴う包括的な県条例が制定されれば、新規埋め立ての適正化は進む可能性がある。半面、埋め立て済みや進行中の事例への対応も課題となる。

◇再生土 建設現場から出た汚泥などを再生処理した物。太陽光発電所の底地や資材・車両置き場の造成用として県内でも使用が急増中。原則、産業廃棄物扱いにはならず、事業着手段階では事実上、法律や県残土条例による規制の対象外。県は15年9月から今年8月末までに142カ所の埋め立てを把握済み。他県や県内の一部の市では独自規制を始めている。