「周囲で〝育て直し〟を」 人格障害焦点で鑑定医 浦安の連続通り魔公判

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 浦安市海楽の路上で昨年10月、男女3人が相次いで刺されけがを負った連続通り魔事件で、傷害と銃刀法違反の罪に問われた、近くに住む無職、瓜生裕美被告(33)の第2回公判は13日、千葉地裁(楡井英夫裁判長)で証人尋問が行われた。感情のコントロールが難しく、時には自傷行為に及ぶこともあるとされる境界性パーソナリティ障害(人格障害)。瓜生被告の鑑定を担当して同障害と判定した医師男性は、3人を襲った原因を「頼みの綱が切れた」と分析し、今後は「周囲での『育て直し』が必要」と述べた。

 同障害は、統合失調症と不安障害のどちらともつかず、境界(ボーダーライン)に位置する人格障害とされる。医師男性によると、一般的に常に空虚な感じを持ち、充足感が得られない。そこから不安が生じ、他人や家族に依存したり、ちょっとしたことで傷つきやすくなることが典型的な特徴。「安定した対人関係が保てない人が多い」といい、同障害の発生頻度は、全人口の2~4%程度という。

 以前から精神科に通院していた瓜生被告は、病院でトラブルを起こして浦安市内の病院に変えたところ、事件前日、処方された薬が変わったことに説明がなかったと決めつけ、一方的に腹を立てて自身の左手を傷つけた。事件当日には転院を考え、2カ所の病院に電話をかけたとされる。

 医師男性は「医療に対する不信感があった」と指摘し、転院がかなわず「頼みの綱が切れた。落とし穴のふたが開いてストンと落ちていく感覚だったと思う」と分析。他人を襲った理由については「自分の窮状をSOSとして出さざるを得なくなった。自分がつらい思いをしたことを、代わりに誰かに感じてもらおうと考えたという解釈は可能」とした。

 瓜生被告の今後については「周囲での『育て直し』が必要。大人だからこれぐらいできると期待せず、かなり過保護にする。そこまでやってあげなくてもということをすれば充足感が芽生えてくる」と述べた。

 証人として出廷した瓜生被告の夫は「彼女が思い悩んだり、不安を抱えたりして訴え掛けてきた時、話は聞いていたが、一方で極力自分の悩みにはしないようにしよう、病気は医者に任せようと考えてしまっていた」と悔やみ「彼女は必要な存在。障害についても彼女についてももっと学んで悩みを共有し、親身になってあげたい」と誓った。