重症化予防へ行動を 今こそ必要な生活習慣の見直し ─高リスクな肥満─ 国際医療福祉大学医学部糖尿病・代謝・内分泌内科学主任教授、同大学成田病院糖尿病・代謝・内分泌内科部長 竹本稔 【医療現場から コロナ禍の羅針盤 情報提供とアドバイス】(13)

 2019年末、中国武漢市からはじまったとされる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、またたく間に世界中に蔓(まん)延し、多くの人々の健康や生活に大きな影響を及ぼしています。重症化予防のため、糖尿病など基礎疾患がない方でも特に気を付けたいのが「肥満」です。

 コロナ禍で外出制限が余儀なくされ、子供から大人まで自宅で過ごす時間が増え、体重が増えがちですが、肥満はコロナ感染の重症化要因になります。コロナウイルスはわれわれの体内に侵入し、増殖し、細胞が破壊されるとともに、体中に炎症反応を引き起こします。

 肥満が悪い理由の一つに、コロナウイルスの体内への「入口」が増えてしまうことが挙げられます。コロナウイルスはACE2という血圧や炎症の制御に関わるタンパクを介して体内に入ってきますが、肥満の方はACE2の発現が増えることが分かっています。

 次に、肥満でも特に内臓脂肪が蓄積するメタボ型肥満の方は、その蓄積した脂肪細胞からアディポカインという生理活性物質が過剰に分泌され、なかでもインターロイキン6やTNF-αは慢性的な炎症を引き起こし、膵(すい)臓から分泌され血糖値を低下させるインスリンというホルモンの働きも弱めてしまいます(インスリン抵抗性)。このインスリン抵抗性は血糖値や血圧を上昇させ、さらにウイルスを体外に除去する力を弱めてしまいます。同じく内臓脂肪から分泌されるPAI-1は血管の中で血液の塊(血栓)を作りやすくします。

 また肥満に伴い横隔膜の動きが制限され呼吸機能が低下し、コロナウイルス肺炎を重症化させます。このように肥満はさまざまな点で新型コロナウイルス感染症に対する抵抗力を弱めるため、できるだけ避ける必要があります。

 そこで、巣ごもり生活の今こそこれまでの生活習慣や普段食べているものを見直し、肥満解消に向けた行動を始めましょう。

 まずは体重測定です。朝起床時と眠前の体重を測定します。睡眠中も体内ではエネルギーが消費され、また発汗に伴い、通常は眠前と朝起床時の体重は1kg前後の差がありますが、もし差がない場合は夕食の量が多い、もしくは眠前の間食が影響している可能性があります。肥満は摂取カロリーと消費カロリーのアンバランスによって生じますので、摂取カロリーを制限する必要があります。

 空腹感を和らげるため、一口20回程度よく噛(か)んで食べる、野菜や海藻類などのカロリーの少ない食材を選ぶ-などの工夫をしましょう。またストレッチ運動やテレビを立ちながら見たりするなど、一日の中でプラス10分の運動の積み重ねも肥満解消につながります。

 最後に、既に糖尿病などの基礎疾患をお持ちの方の病院受診控えは、検査値の悪化につながります。コロナ禍であっても定期的に病院受診をして、健康診断や人間ドックも例年通りに受けましょう。明けない夜はありません。ぜひこの状況を逆手にとって、より良い健康ライフを送りましょう。


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