【写真複数あり】苦労乗り越え赤ちゃん6頭誕生 コロナ禍影響も 千葉市動物公園・チーター来園1年ルポ

チーターの赤ちゃん(千葉市動物公園提供)
チーターの赤ちゃん(千葉市動物公園提供)

 千葉市動物公園(若葉区)に地上最速の動物「チーター」7頭が来園して約1年。6月に赤ちゃん6頭が誕生するという明るいニュースもあったが、来園時期の延期や目玉イベントとして期待した「チーターラン」の当面中止など、新型コロナウイルス禍に翻弄(ほんろう)されてきた。初挑戦だった繁殖も試行錯誤と苦労の連続。チーターに揺れた同公園の1年を振り返る。
(報道部・佐藤楓)

 チーターの展示は集客力向上などを掲げ2014年に策定した「リスタート構想」の一環。チェコの動物園から雄3頭、フランスとノルウェーの動物園から雌計4頭の寄贈を受けた。

 同公園のチーター担当飼育員、中村彰宏さん(53)によると、100年前までは10万頭ほどいた野生のチーターは現在10分の1までに減少。絶滅が危惧されている。種の保存は動物園に課された役割の一つ。国内で繁殖は行われているものの、近親交配が進み限界もあったため、同公園は海外に“新しい血”を求めた。

◆初の繁殖に試行錯誤

 同公園でのチーター飼育は初の試み。中村さんは「ただでさえチーターの繁殖は難しいと言われているが、園にチーターについての知見や繁殖のノウハウがなく苦労した」と話す。

 雌は発情期に普段と異なる行動を見せることが少なく、発情期の判断が難しいためだ。加えて一般的にネコ科の発情期が約2週間なのに対して、チーターは1~2日間と短く、発情期の判断が遅れると交尾のチャンスを逃してしまう。「長く雌雄を同居させておくと、お互いに興味を失ってしまい交尾に結びつかない。時間との勝負だった」。

 同公園は昨年9月から繁殖を開始。発情期を迎えた雌雄1頭ずつを同居させたが「うちの雌たちは気の強い女王様タイプ。一方で雄の3頭は、平和主義の“おぼっちゃま”。雌が強くて雄が萎縮してしまい、うまくいかなかった」。チーターを研究する大学教授や他園からアドバイスを受け、組み合わせを変えながら雄2頭と雌1頭を同居させる方式に変更。6パターン目を試していた今年3月に、5歳の雌ズラヤが妊娠した。「それぞれの性格を適切に見抜くことができた結果」と説明した。

◆展示方法を模索中

 チーターは当初、20年7月の公開開始に向け、同3~4月に到着する予定だったが、コロナ禍で来園が延期に。6月に到着した後も、来園者の密を避けるため、チーターが疑似餌を追って展示場を全力疾走するチーターランの本格実施が当面見送られるなど、コロナ禍に悩まされてきた。

 チーターランは、動物にとってすみよい環境づくり「環境エンリッチメント」の一環でもある。給餌方法などに工夫を凝らすことによって、動物のストレス軽減につなげることを狙う。「こうした取り組みを知ってもらうきっかけにチーターランを期待していた。コロナ禍を見据えた展示方法も考えていく必要がある。動物をかわいいと思ってもらうだけが園の役割ではない」と模索が続く。

◆個体数減少に歯止めを

 6頭を産んだズラヤについては「初産だが、一頭一頭分け隔てなく毛繕いをするなど面倒見が良く頼もしい」と目を細める。「他園から赤ちゃんの飼育もアドバイスをもらっている。全6頭が無事成長するようズラヤの子育てに協力していく」。

 一方で、チーターは大人になる2歳前後を目安に、繁殖のため他園へ引っ越しすることが多い。「遠くへ行ってしまう日を思うとさみしいが、6頭の赤ちゃんは昨年寄贈してくれた各園との友好の証し。今度は6頭が他園との架け橋となり、チーターが少しでも増えたら」と期待する。

 同公園のチーター飼育は始まったばかり。親のチーターがストレスから赤ちゃんを殺してしまったり、育児を放棄したりすることもあり得るため、気の抜けない日々が今後も続く。「チーターを見に多くの人に足を運んでもらい、種の保存や動物を取り巻く環境について考えてほしい」。同公園のアイドルになりそうな赤ちゃんチーターの公開は、順調なら9月を予定している。


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