「注射針が来ない」 ワクチンと配送日ずれ 佐倉の病院、接種への支障危惧 【地方発ワイド】

高齢者向け新型コロナワクチンの集団接種に備え行われた模擬訓練=4月17日、印西市
高齢者向け新型コロナワクチンの集団接種に備え行われた模擬訓練=4月17日、印西市

 「ワクチンは届いたが、付属の注射針が届いていない」。新型コロナウイルスワクチンの高齢者向け接種を間近に控えた佐倉市内の病院で、メーカーから届くワクチンと注射針などの備品の配送日が異なるケースがあることが11日、関係者への取材で分かった。接種スケジュールに影響は出ていないものの、注射針の供給にタイムラグがあることについて、医療関係者からは「いずれ接種に何らかの支障が出る可能性はある」と危惧する声も上がっている。(佐倉支局長・馬場秀幸)

 関係者によると、ワクチンと注射針は、国が発注したメーカーから超低温冷凍庫を備える地域の医療拠点「基本型接種施設」に配送される。佐倉市では、県が選定した聖隷佐倉市民病院と東邦大学医療センター佐倉病院などに届けられ、医療従事者への「優先接種」が行われているという。

◆現場から憤りの声

 「ワクチンは届いたが、付属の針が届いていない」。基本型施設からワクチンを移送される手はずを整えた市内のクリニック関係者の男性は4月20日、ワクチンの到着を確認した際、同施設担当者の言葉に耳を疑った。注射器は21、22日に施設に届いたというが、男性は「業者の配送日は週2日と決められており、針の遅れでワクチン接種が次週にずれ込むことになった。うちの医療スタッフにも予定がある。コロナ禍の中、小規模で回している現場のことも考えてほしい」と憤る。

 男性によると、同市では基本型施設が近隣などの医療機関「連携型接種施設」へのワクチンの移送拠点にもなっている。5月中旬以降から本格化する高齢者向け接種を控え、個別接種方式を行うかかりつけ医などの医療従事者にも市内の流通担当事業者を通じてワクチンが小分けにして届けられるという。

◆厚労省「初めて聞いた」

 こうした実情について、厚生労働省予防接種室の担当者は「ワクチンと注射針などの備品は基本、国が一括で買っているので一緒に届くはず。別々に届いているとは初めて聞いた」と回答。さらに、基本型施設にワクチンが届いた後の小分け移送などを詳細に把握しているわけではないとも説明した。

 一方で県疾病対策課の担当者は「同じ週には届くが、ワクチンや注射針、シリンジ(注射筒)は別々の発注なはず。配送業者も違うので配達日は違う。国は知っているはず」と困惑を隠さない。

 東邦大病院の担当者は「1日、2日のタイムラグはあるが、ワクチンが届いてすぐに接種するわけではないので問題ない。ただ、配送のずれが頻繁になると、いずれ何らかの支障が出る可能性はある」と指摘する。同クリニックの男性も「間もなく高齢者向けの接種が始まるが、何か起きてからでは遅い」と話した。


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