観光バスでワクチン接種を 車両改造、交通弱者輸送も なの花交通バスがプラン 【新型コロナ】

新型コロナウイルスワクチン接種に使うバスの車内=19日、佐倉市
新型コロナウイルスワクチン接種に使うバスの車内=19日、佐倉市
ワクチン接種に使うバスの外観=19日、佐倉市
ワクチン接種に使うバスの外観=19日、佐倉市

 観光バスや路線バスを運行する「なの花交通バス」(佐倉市)は、観光需要の大幅減で使わなくなった大型バスを病院などに派遣し、新型コロナウイルスワクチンの接種会場として活用するプランを打ち出した。院内に不特定多数の人を入れることを懸念する病院の声を聴き取り、バスを改造して移動式の“集団接種会場”とした。公共交通機関がない地域から会場への輸送も想定し、高齢者らを対象とした接種開始に向け準備を進めている。同社は「少しでも早く、多くの人たちが接種できるよう役立てたい」と語った。

 なの花交通は、新型コロナ感染拡大により、昨年5~7月の売上高が前年の約2割に低迷。国の観光支援策「Go To トラベル」の効果で11月は約7割に回復したものの、「第3波」と緊急事態宣言再発令の影響で1月は約4割に落ち込んだ。

 観光需要の減少で車両も人員も余る中、「バスを使い人の役に立てることは何か」(同社担当者)。病院や自治体に足繁く通ってニーズを聴き取ると、ワクチン接種の方法で頭を悩ませていることが分かった。

 病院では、感染防止の観点から不特定多数の人を院内に入れる抵抗があった。自治体からは、集団接種の会場をどこに設置すべきか、高齢者らの送迎はどうすればいいのかといった不安の声を聞いた。バスやハイヤーを使えば、この問題は解決できるとプランを作成した。

 ワクチン接種用のバスは定員45人の大型車両を改造。乗車すると、まず前方にある席で順番を待ち、テーブル席で問診票を記入した後、中央の席に移動して接種を受ける。体調急変に備え、後方には簡易ベッドも設ける。リフトが付いているため、足の不自由な人や高齢者も安心して乗降できる。

 接種を終えた人が15~30分、経過観察するために乗車するバスも用意。座席ごとに透明のビニールで仕切り、飛沫感染防止に努める。送風機付の同社のバスは、閉め切った状態でも約5分で空気が入れ替わるという。

 ほかにも、外出ができない高齢者や障害者のもとに接種を行う医療従者者をハイヤーで送り届けるサービスや、ワクチン輸送用に車両を運送するプランも考案した。

 約10自治体から問い合わせがあり、一部からは「接種の日程が決まったらお願いします」と引き合いは上々だ。同社の国嶋通孝取締役本部長(46)は「ワクチン接種の方法はまだ手探りの状態が続いていると思う。千葉だけでなく全国でも使えるアイデアだ。少しでも早く、多くの人たちが接種できるよう役立てたい」と思いを語った。


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