部員同士で強さ継承 “アットホーム”が特徴 成田高 競技かるた部 【戦う文化部】(9)

放課後の練習風景。読まれた札をすばやい手付きで取る=成田市成田、成田高校
放課後の練習風景。読まれた札をすばやい手付きで取る=成田市成田、成田高校
自分のお気に入りの札を見せる部員
自分のお気に入りの札を見せる部員

 昨年7月、滋賀県の近江神宮で開催された、小倉百人一首競技かるた第41回全国高等学校選手権大会に千葉県代表として出場した成田高校競技かるた部(成田市成田)。同校付属中と合同の練習は和気あいあいとしているが、対戦が始まると空気は一変。中学生12人、高校生18人の計30人は静かな闘志を胸に秘め、日々技を磨いている。

 「見せばやな雄島のあまの袖だにも」。上の句が読まれ一瞬の静寂に包まれた後、畳をたたく音があちこちで鳴り響いた。

 競技かるたは一般的なかるたと違い、上の句を聞いて下の句を取るというルール。場に並べられた50枚のうち自分の陣地に25枚、相手の陣地に25枚配置し、先に自分の陣地の札がなくなったほうの勝利。使用する札は100枚の中からランダムで選ばれるため、小倉百人一首を全て覚えなければならない。高校1年の髙橋道琉さん(16)は「中学の行事で100枚をちゃんと覚えたら楽しかったので、高校では部活動でやってみようと思った」と入部動機を語る。付属中では毎年学校でかるた大会が行われており、それをきっかけに入部する生徒も多いという。

 実績のある部活動だが特定の指導者はいない。顧問の山野惠子教諭(35)は「OBOGの力が大きい。先輩が後輩に教えるという流れが自然とできている」と話す。また、県かるた協会の練習会に参加し、大人から子どもまで幅広い世代と対戦することも技術向上につながっている。

 競技をする上で鍵となるのが「暗記力」。相手より先に札を取るためには、どの札がどこに配置されているかを短時間で正確に記憶しなければならない。対戦前の暗記時間、部員たちの瞳は真剣そのもの。「暗記時間中はしんどいけれど、取りたいと思った札がイメージ通りに取れたときは楽しい」と高橋さん。かるたによって暗記力が鍛えられているという部員も多い。

 「中学生もいるので話しやすいよう、アットホームに保っているのは成田の強み」と部長の高校2年、前田萌夏さん(17)。練習では中高生関係なく対戦し、アドバイスする様子が見受けられた。和やかな部の雰囲気に引かれ、高校から競技かるたを始めた1年の出原優希乃さん(16)は「先輩の支えがあるから、一からやる人も楽しめる。対戦相手からのアドバイスはノートに書いている。そのおかげで、大会で昇級できたのがうれしかった。もっと強くなりたいという気持ちが一番の原動力」と声を弾ませる。

 個人戦が多く、各自で目標設定をしている部員たちだが、共通の目標は「全国大会出場」。部員同士で修練し、再び近江神宮の舞台を目指す。

   (文化部・溝口文) =原則毎月第1・3木曜日掲載

◆漫画効果で部員増

 「漫画の『ちはやふる』(講談社)が好きで、どんな部活なのかなと」。当時は音楽部も視野に入れていたという中学2年生の奥佳那子さん(14)。「漫画では体育会系だから怖いのかなと思っていたけど、入ってみたらアットホームで楽しい」と笑顔を見せた。

 2007年に創立された同好会から始まった競技かるた部。13年に正式に部活動となった。「一学年3人いればいい」という時期もあったが、現在はかつて使用していた作法室には入りきらないほど部員が増えた。

 山野教諭は「漫画や映画の効果で競技人口が大幅に増えた」と話す。競技人口増加に伴い昇級も難しくなり、初心者と言われるE級のレベルも高くなっている。

※髙橋道琉さんの橋の字は代字


  • LINEで送る