和太鼓で地域を元気に 合言葉は「テーマパーク」 八千代高「鼓組」 【戦う文化部】(6)

タイヤや机を打ち鳴らす校内での練習。部員たちの笑顔が絶えない=八千代市勝田台南、県立八千代高校
タイヤや机を打ち鳴らす校内での練習。部員たちの笑顔が絶えない=八千代市勝田台南、県立八千代高校
舞を練習する部員。ほかにも笛や曲間のMCなど、練習内容は幅広い
舞を練習する部員。ほかにも笛や曲間のMCなど、練習内容は幅広い

 千葉県立八千代高校(八千代市)の和太鼓芸能集団「鼓組」は地域住民に愛される部活動。若者らしいフレッシュさと練習量に裏打ちされた確かな技術で、年間二十数回の公演をこなし、大勢のファンを魅了する。

 11月上旬、直近に迫る地域の祭りに向けた校内の練習を取材した。「わっしょい! そーれ!」。威勢の良い掛け声に合わせタイヤを時に激しく、時に優しく打ち鳴らす部員たち。全員が気合をみなぎらせながら技に磨きをかける。

 鼓組は1990年、吹奏楽部内に結成。外部の指導者、太田雅人さんがプロ和太鼓集団「鬼太鼓座」で2カ月修行し、その成果を基に指導。地域で公演するにつれて評判が広がり、2004年に正式に部となった。現在1、2年の30人が所属する。

 校内の練習は近隣への騒音対策のため、太鼓の代わりにタイヤや布をかぶせた机をたたく。和太鼓のように大きな音は響かないが、演奏からは本番さながらの「熱さ」が伝わってくる。

 「若さだけでなく、高校生を感じさせないプロのような演奏も意識している」。部長に当たる「組頭」を務める2年の小川喜輝さん(16)は胸を張る。確かに、毎年8月の関東大会では10年連続で金賞を受賞するなど実績は十分。

 太鼓は一定のテンポで打つ技術が重要。部員たちは部活動以外の時間にも、メトロノームに合わせて机をたたくなどの自主練習に励むほか、体力づくりのため筋トレもする。「1年生の体つきが入部当時よりゴツくなってきた」と、小川組頭は目を細める。

 地域に根付くだけに、鼓組のために入学したという部員も。2年の小川晴香さん(17)は小学時代に初めて見た鼓組が忘れられない。「かっこよくて、圧倒された」。今は主に笛を担当し、「ソロのパートを自分で作って吹くのが楽しい」と声を弾ませる。

 一方、1年のリーダー、吉川太朗さん(16)は入学後に入部を決めた。「太鼓は奥深い。最初は分からなかったが、真ん中を打ち続ける技術や、お客さんに伝えるための表現力が必要」と話し、「自分で限界をつくらず、さらなる上達に励みたい」と力を込める。

 公演のまとめ役「音頭取り」の2年、新井帆香さん(17)は、曲目や太鼓の位置など公演に関わるさまざなことを決める重責を担う。「先輩たちがやらなかった新たなことに挑戦し、お客さんをびっくりさせたい」と意気込み十分だ。

 本年度のスローガンは「テーマパークを作る」。「ディズニーランドのように明るくて楽しい公演を目指す」と、小川組頭は熱っぽく語る。地域に元気と笑顔を届けるため、若き太鼓集団の奮闘は続く。

(文化部・平口亜土)

◆「下の名前」で呼ぶ伝統

 「ヨシキはどう?」「ホノカ先輩、お願いします!」-。

 鼓組では、部員同士が「下の名前」で呼び合う伝統が根付いている。同学年同士や上級生が下級生に呼びかけるときは、下の名前を呼び捨て。下級生が上級生を呼ぶときは、下の名前に「先輩」とつける。

 「強制ではないけど、みんなが守っている。部員同士が親密になれる」と小川組頭。「また、嫌なことは嫌、と言える環境づくりにも役立っている」と説明する。

 部の練習風景は、部員間に「壁」を感じさせない自由な雰囲気で、自己主張も活発。全員が一丸となる演奏には、こうした些細(ささい)な言葉遣いのルールも奏功している。


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