眺望抜群ランドマーク 東京湾を見渡す観音像 【千葉地理学会連載 おもしろ半島ちばの地理再発見】

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東京湾観音
東京湾観音

 富津市の東京湾に面した山上に大きな観音像が立っています。高さ56メートルの東京湾観音です。

 像として、県内第1位、日本第8位、世界第27位の高さです。なお、日本第1位は110メートル(台座を含むと120メートル)の牛久大仏(茨城県牛久市)で、世界でも第3位の高さです。

 東京湾観音は東京都深川で材木商を営んでいた宇佐美政衛氏(君津市生まれ)が戦没者慰霊と世界平和祈念のために建立しました。1961(昭和36)年に完成しました。原型は、彫刻家の長谷川昴氏(鴨川市生まれ)が奈良法隆寺夢殿の救世(ぐぜ)観音を思い浮かべながら制作したものだそうです。

 高い像を支えるために地下10メートルに16本の支柱を埋め、中心に据えた3メートルの軸で全体を支える鉄筋コンクリート構造です。建築費用は当時の金額で約1億2千万円とのことです。

 この像は外から眺めるだけでなく、像内に入り、314段ある螺旋(らせん)階段を登って像の冠部まで行くことができます。東京湾観音自体は救世観音ですが、中には弥勒菩薩や大日如来などのさまざまな諸仏、そして七福神や「マリア菩薩」まであります。像内は20階に分かれ、胎内巡りをしながら各階に安置されているさまざまな仏神像を参拝する形式となっています。

 登っていくと、途中途中にいくつもの窓があり、目線がどんどん高くなるのを実感できます。腕の位置である13階には像の外、腕上部に出られる「腕展望」があります。さらに宝冠の位置である19階にも「宝冠部展望」があって、像の頭部を回廊状に巡る外通路に出られます。

 腕・宝冠の両展望とも、かなりのスリルで、高所恐怖症の人には恐怖も感じます。でも眺望は抜群で、房総半島や東京湾ばかりでなく、天気のいい日は富士山や関東平野の広い範囲まで楽しめます。

 近年はこの眺望やスリルなどを目当てに、外国人観光客も増えてきているそうです。

 2018(平成30)年、「平成最後の大改修事業」が行われ、白の映えがより際立つ、装い新たな姿になりました。

 頭頂の宝冠には夜になるとLEDライトが灯り、東京湾(浦賀水道)方面を照らして、往来する船舶からも目印の役目を果たしています。

 東京湾観音は、山頂から東京湾を見渡しながら、昼も夜も広い範囲からよく見えるランドマークとして、今日も立っています。

(横芝小学校長・佐瀬一生)