危機的状況に厳しい目 事業休止反対の声相次ぐ 【検証 銚子市の財政】(上)

 「(財政問題は)市が正しいことをしてこなかった結果」-。昨年12月、銚子市が開いた緊急財政対策の市民説明会。約300人もの市民が詰め掛け、厳しい言葉も投げ掛けた。

 危機的な財政状況が続いている銚子市。2018年度は未収金対策や市有地の売却などにより一時懸念されていた赤字は回避できる見通しだ。一方で、19年度の一般会計当初予算案では財源の不足分を補うため、介護保険事業特別会計への人件費・事務費に関する繰出金を計上せず先送りするなど、綱渡りのような状況が続く。

 市民に衝撃を与えたのが昨年10月、市行財政改革審議会に示された新たな財政収支見通し。市は、18年度は6億円以上の歳入不足、約3億円の赤字が見込まれるとした上で、このままの状況が続くと21年度までに破綻懸念のある財政健全化団体に転落すると推計。状況が変わらなければ、翌22年度には北海道夕張市と同じ「財政再生団体」に陥る可能性があるとした。

◆福祉パスも見合わせ

 これに対応するため、銚子市は昨年11月、23年度までの収支均衡を保つ緊急財政対策を提示。西部支所、西部・高神地区コミュニティセンターといった施設、重度心身障害者福祉年金経費などの市単独扶助費の休止を掲げ、市長公約の福祉パス事業も実施を見合わせるとした。また、耐震性などに問題があるものの財政難で建て替えが困難という市青少年文化会館について、年度末で休止する方針を明らかにした。

 計画は市企画財政課や市幹部が中心となって策定。発表当時、現場の市職員からは「聞いていない」などと驚きの声も上がった。昨年末の説明会では市民から、事業の休止や見直しについて反対の声が相次いだ。

◆人口減など響く
【残り 611文字、写真 1 枚】



  • LINEで送る