ロケ地いすみ喜びに沸く 役所に横断幕、興行にも協力 カンヌ最高賞「万引き家族」

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大原海水浴場で撮影された映画「万引き家族」のシーン(C)2018フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.
大原海水浴場で撮影された映画「万引き家族」のシーン(C)2018フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.
大原海水浴場での映画撮影風景=昨年8月7日(C)2018『万引き家族』製作委員会
大原海水浴場での映画撮影風景=昨年8月7日(C)2018『万引き家族』製作委員会
映画「万引き家族」より(C)2018フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.
映画「万引き家族」より(C)2018フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.

 第71回カンヌ国際映画祭で最高賞に輝いた邦画『万引き家族』(是枝裕和監督)の海水浴シーンが撮影されたいすみ市が、受賞の喜びに沸いている。同市は約2年半前からロケ誘致を進めてきたが、世界的映画賞の撮影地(大原海水浴場)となるのは初めて。劇中、海水浴場は万引で糊口をしのぐ仮面家族の“偽りの幸せ”を象徴するシーンとなっている。同市は早速、役所に横断幕を掲げるなど興行成功に協力。担当者は「受賞を弾みに、今後もロケ地に選ばれるように取り組みたい」と声を弾ませた。

(勝浦支局・廣田和広)

 同市は2015年12月に団体を立ち上げるなどして、ロケ誘致に取り組んでいる。市オリンピック・観光課によると、昨年春に撮影場所の問い合わせがあり、是枝監督を太東と大原の二つの海水浴場へ案内。監督は大原海水浴場が気に入ったという。

 受賞作は、わけあり貧乏一家の物語。常習万引の家族を通して、人と人とのつながりが希薄になった現代社会に問題を提起する。高層マンションに囲まれた老朽戸建てで夫(リリー・フランキーさん)、妻(安藤サクラさん)とその妹(松岡茉優さん)らが、一癖ある老婦人(樹木希林さん)の年金を頼りに生活し、不足分は万引で補っている。が、ある事件をきっかけに、仲良く暮らしていた家族が…。

 大原海水浴場での撮影は昨年8月7日の1日だけだったが、この日はメインの出演者のほか、市民エキストラとスタッフそれぞれ約70人が集結。和やかな雰囲気で準備が進められ、本番の合図と同時に空気が引き締まった。台風の影響で天候が徐々に悪化する中、是枝監督はカメラマンと一緒に海に漬かりながら撮影。家族そろって海で遊ぶ姿を活写し、幸せを象徴するシーンを演出したという。

 市は今回の快挙を記念して市役所外壁に横断幕を掲げた。このほか、1階ロビーにはロケ当時の仮題『声に出して呼んで』を書いた是枝監督のサイン色紙やポスター、撮影内容を展示し、大原海水浴場のシャワー施設にもパネルを設置するなど興行成功に協力。同課は「映画の世界を感じてもらえれば」と来訪も呼び掛けている。

 カンヌ国際映画祭は世界三大映画祭の一つで、邦画が最高賞のパルムドールを受賞するのは1997年の『うなぎ』(今村昌平監督)以来21年ぶり。映画は全国で絶賛公開中だ。