版画も肉筆も抜群の描写力 浮世絵の祖、いかに誕生? 千葉市美術館展覧会図録「菱川師宣」 【故郷の本たちへ 河野良恒】(120)

 若いころはシュールレアリスムなど理屈っぽい絵が好きだった。だが、年を取るにつれ、頭の疲れる絵画理論とつきあうのがしんどくなり、目だけで楽しめる西洋なら印象派からセザンヌ、マチスの流れ、中国では宋元の水墨画、日本なら浮世絵がよくなった。

 〝浮世絵の祖〟菱川師宣への知識は鋸南町保田に生まれ、代表作「見返り美 ・・・

【残り 1370文字】



  • Xでポストする
  • LINEで送る