『古事記ものがたり』(葉山修平著)

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 言わずと知れた日本最古の歴史書。その古事記を“創る”という大事業に携わった2人の物語である。

 巫女・稗田阿礼(ひえだのあれ)が天武天皇の密命を受ける。<上古>の<諸事>を<記定>せよ、つづめて<古事記>を誦習せよ。天皇や皇族の事績と先代の神話や伝記のよみ習いが始まる。彼女が28歳の時のことだった。

 それから30年の月日が流れ、誦習を撰録(文章で記録)する場面に移る。元明天皇の勅により、五位の官人・太安万侶(おおのやすまろ)が任に当たる。

 阿礼と安万侶の共同作業は、筆者想像の会話文に大任の喜びと苦しみが肉声として聞こえる。天地開闢から推古天皇に至る三巻は、712(和銅5)年に完成。天皇を中心とする日本統一の由来を文字として残した2人の功績は必読に値する。

 (龍書房=東京都千代田区飯田橋2の16の3・1500円)