市原・青葉台に絶滅危惧種ハチ 公園の砂場で営巣、子育て 住民と市が見守り ニッポンハナダカバチ

公園の砂場に穴を掘り営巣するニッポンハナダカバチ=7月ごろ、市原市内(板橋さん提供)
公園の砂場に穴を掘り営巣するニッポンハナダカバチ=7月ごろ、市原市内(板橋さん提供)
砂場へ立ち入らないよう求める掲示=市原市(板橋さん提供)
砂場へ立ち入らないよう求める掲示=市原市(板橋さん提供)

 市原市青葉台地区にある公園の砂場3カ所で7月、環境省が絶滅危惧種に指定するニッポンハナダカバチが確認された。営巣する様子から、住民と公園を管理する市は迅速に連携して見守り。巣は荒らされることなくハチは無事子育てを終えたとみられ、安堵(あんど)感が広がった。

(佐藤大介)

 公園がある青葉台7丁目町会の板橋武副会長(78)によると、ハチは7月7日、犬の散歩をしていた住民男性が公園の砂場で発見。男性が昆虫に詳しいこともあり「希少種のようだ」と板橋さんに報告するとともに、管理する市西部地区公園管理所へも通報。板橋さんと同管理所がそれぞれ確認したところ、地区内3公園で飛来するハチがおり、いずれも砂場で営巣していた。

 同管理所は、目視した個体とネットなどの情報を基にニッポンハナダカバチと判断。むやみに人を刺さないハチとされるが、公園で遊ぶ子どもたちの安全確保も兼ね同日以降、砂場にロープを張って希少ハチの存在や習性を知らせるとともに、保護のため立ち入らないよう注意掲示を設置。町会も砂遊びや、犬の散歩での立ち入りを控えるよう回覧板で要請した。

 「子育てが終わる8月下旬まで見守る方針だった」(板橋さん)という通り、9月に入ってハチの姿は見えなくなったが、巣は荒らされることなく、無事子育てを終えたとみられている。

 板橋さんは「(ハチの営巣は)静かで環境が良い街だという証拠。守ることができてよかった。来年も来てくれるだろうか」と話している。

 ◇ニッポンハナダカバチ 日本固有種の狩りバチ。体長2センチほどで黒色の体に黄白色の模様がある。上唇が長く飛び出しているため「ハナダカ」の名がついた。7月ごろ海沿いや河川敷の砂地に掘った巣穴で産卵、子育てをする。毒針で麻酔したハエやアブを捕って幼虫のえさとして運び入れる珍しい習性があり、昆虫学者のファーブルの「昆虫記」にも記述がある。本州に広く分布するが、近年は砂浜や河川敷の開発で減少し、環境省レッドリスト(2018年)「絶滅危惧II類(VU)=絶滅の危険が増大している種」に指定されている。


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