電話de詐欺被害34億円「過去最悪ペース」 千葉県内1~6月、前年同期比20億円増 “ニセ警察”で若者も標的に 「SNSで取り調べ絶対にない」

千葉県警本部
千葉県警本部

 今年上半期(1~6月末)に千葉県内で確認された電話de詐欺の発生件数は562件(前年同期比145件増)で、被害総額は約34億9100万円(前年同期比約20億円増)に上った。千葉県警が「過去最悪のペース」と危機感を募らせる被害状況の背景には、警察官らに成り済まして金銭をだまし取る「ニセ警察詐欺」の増加があり、県警の担当者は「警察が電話で現金を調べる要請をしたり、LINE(ライン)やSNSで取り調べをすることは絶対にない」と呼びかけている。

(井田心平)

 県警によると、上半期の電話de詐欺の手口で依然多いオレオレ詐欺の中でも、警察官らを名乗って「あなたが犯罪に加担している疑いがある。嫌疑を晴らすためにはあなたの現金を調べる必要がある」などとうそを言い、LINEなどのビデオ通話に誘導して金銭をだまし取るニセ警察詐欺の被害が約6割を占める。高齢者だけでなく、20代や30代の若者もだまされているのがこの手口の特徴だという。

 SNS型投資・ロマンス詐欺も上半期に県内では計147件(前年同期比95件増)確認され、被害総額も計約21億1千万円(前年同期比約9億9千万円増)と大幅に増加した。

 状況を改善しようと、県警は、こうした特殊詐欺の集中的な摘発・抑止対策を6月に実施。対策の成果もあり、上半期で特殊詐欺に関与した疑いのある89人を摘発した。これは近年の上半期では最も多い人数だという。

 また、ニセ警察詐欺にだまされていないかを確認するチェックシートを県内の各金融機関窓口に置くとともに、県警が作成した詐欺手口の解説動画をインターネット上で配信。加えて、県内で上半期に確認された電話de詐欺の約7割が国際番号からの着信だったことから、国際電話の利用休止申請を呼びかける取り組みも続けている。

 県警捜査4課特殊詐欺対策室の岩瀬哲室長は「若い世代の人もだまされる時代になっている。警察官が電話で『現金を調べる必要がある』などと話したり、LINEやSNSで警察手帳を示したり、取り調べをすることは絶対にない。こうした連絡がきた場合は詐欺なので、最寄りの警察署に相談してほしい」と呼びかけた。


  • Xでポストする
  • LINEで送る