【ふつうの家族】(276) 辻堂ゆめ・作 伊藤健介・画

 母が家の玄関へと走っていく。四人で持ち上げているとはいえ、木の幹は重い。幹を伝って垂れてきた雨粒か、額から噴き出した汗かも分からない液体が、幾筋も顔の端を伝っていく。
【残り 775文字、写真 1 枚】



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