【千葉魂】 残り10試合勝ち抜けるチームへ 悔しさ胸に、新たな一歩

秋季練習が始まる前に円陣を組む井口監督ら首脳陣に選手ら=5日、ZOZOマリン
秋季練習が始まる前に円陣を組む井口監督ら首脳陣に選手ら=5日、ZOZOマリン

 雲一つない空の下、練習が再開された。10月5日、ZOZOマリンスタジアム。クライマックスシリーズ・ファーストステージ第1戦が行われているその日に千葉ロッテマリーンズが新たな1年に向けたスタートを切った。選手たちに各コーチからの指示があった後、井口資仁監督が口を開いた。

 「今日は来年に向けたスタート。来年に向けて今日から一歩ずつ始めましょう。みんなが来年キャリアハイの成績を出して、最高の結果を出せるように頑張っていこう」

 この日、福岡ではホークス対イーグルス戦が大観衆の見守る中、華やかに行われていた。本来ならばマリーンズが、その場にいなくてはいけなかった。しかし現実は残酷だ。目の前に広がっているのは観客が誰もいないスタンド。そのグラウンドでマリーンズ選手たちは黙々と汗を流していた。練習メニューの指示を出しながら河野亮打撃コーチも続いた。

 「本来ならこの時期、ここで練習をしていてはいけない。クライマックスシリーズ、日本シリーズで活躍しないといけない。このスタジアムを満員に埋め尽くし、そのど真ん中でファンに感動を提供していないといけない。そのために練習をしましょう」。熱く語り掛けた。

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 シーズン終盤、イーグルスと3位争いを繰り広げ、最後の最後で敗れ去った。2018年シーズンの借金22の5位から考えると大きく成長をしていると周囲は評価するが、指揮官の目は厳しかった。目指す頂はもっともっと上。チームスローガンに掲げた「マウエ↑」は順位を一つ上げることではなく文字通り、最も上。日本一を意味していた。それだけに歯がゆい思いが残った。

 「3位争いで平常心を失っているようでは駄目。ウチは来年、そしてこれからずっと優勝争いをして勝ち抜くチームになっていかないといけないのにね。この試合を勝つか負けるかで優勝をするか、そうでないかが決まるような時に平常心で大胆に戦い抜けるような強いチームを作り上げたい」

 井口監督がそう言ってシーズン終盤の戦いを振り返った。3位がチラつきはじめた9月中盤。残り10試合という場面で3勝7敗と大きく負け越した。9月はそれまで7勝2敗1分けで3位。2位も視野に入れた位置につけていたが最後の最後で失速しイーグルスに抜き去られる結果となってしまった。ベンチにいた指揮官にとって歯がゆかったのは負けた事実よりも選手たちが平常心を失ってしまった現実だった。

 「最後の10試合で今のチームのメンタルが分かった。ミスにボーンヘッド。平常心を失っていた。最後の10試合で力になるのは自信。ここまでどれだけ練習をして努力をして準備をしてきたかという自信。でもマリーンズは違った。まだ自分を疑っている選手が多くいた」

 だからシーズン最終戦の試合後に行ったミーティングでは「勝ち抜くチームを作る」と宣言した。そして選手たちには「これからはもっともっと高い目標を設定してもらう。おのずとこちらの要求も厳しくなる」と妥協なき鍛錬の日々を行う事を要求した。

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 ZOZOマリンスタジアムで10月から行っている秋季練習と11月1日から鴨川で始まる秋季キャンプでは全体メニューではなく個別メニューを重視し、それぞれに自分自身を追い込んでもらう。己に打ち勝ち必死に練習をした先にこそ成長があり、自信につながる。その自信が結集し一つのチームを形成し、最後の10試合を勝ち抜くチームとなる。

 19年シーズン、ライオンズが連覇をした。マリーンズ打線との違いはなにかと問われると指揮官は迷うことなく答える。「ライオンズは初球をガンガン振ってくる。そのメンタル。ウチはみんな気が大人しいから初球から戦いにいっていない。まず1球目は見ようかとなる。ライオンズが初球からストライクゾーンに来たら見逃すもんかという気概を持って打席に入っているのは大いに見習わないといけないところ」

 獅子の戦う姿勢。そして最後の10試合という最終局面での戦いざま。野球人としての生きざま。苦しい戦いを支える自信と誇り。惜しかったと言われることの多い19年シーズンで見えた反省点を胸に井口マリーンズは新たな一歩を踏み出した。それは常勝軍団への確かな一歩となる。

(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)



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