「体調に関してはこれまでのところ問題ありません。ご安心ください」

　施設の担当職員と電話で話が出来た際、漆原課長は兄の健康面について真っ先に尋ねていた。二人の関係性が特定できない限りはそれ以上の情報は明かせないと、暗に先方が述べている点は嗅ぎ取れた。

「私の兄かも知れません」

　そう電話口で主張したところで立証できるすべは何もないのだった。

　県の主管課を通さずに直接保護施設へ掛け合ったのが、結局は正解だったのかもしれない。親族関係を証明できる書類を持参し、生活歴を開示して欲しいと指示された。逆を言えばそれだけの情報を示すだけで関係性が認められるのだ。知り得る身体的特徴やエ　・・・

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