2022年5月17日 05:00 | 有料記事

画・佐藤 辰作
兄はまるで宇宙人だと、子供の頃から思い続けていた。ほぼ母音だけで構成されるその発語と表現方法は、不思議な感覚と相俟って兄そのものの存在を際立たせていた。正也という自分の名も「アアヤ」と発音し、弟の名である充之については難しすぎて滅多に呼びかけることもなかった。
充 ・・・
【残り 1232文字】

兄はまるで宇宙人だと、子供の頃から思い続けていた。ほぼ母音だけで構成されるその発語と表現方法は、不思議な感覚と相俟って兄そのものの存在を際立たせていた。正也という自分の名も「アアヤ」と発音し、弟の名である充之については難しすぎて滅多に呼びかけることもなかった。
充 ・・・
【残り 1232文字】