2025年10月7日 19:00 | 無料公開

ノーベル生理学・医学賞に選ばれ、記者会見で笑顔を見せる大阪大の坂口志文特任教授(右)と妻で研究者の教子さん=7日午後、大阪府吹田市
体内の過剰な免疫反応を抑えるリンパ球の一種「制御性T細胞」を発見し、今年のノーベル生理学・医学賞に選ばれた坂口志文大阪大特任教授(74)は7日、大阪大のキャンパス(大阪府吹田市)で記者会見し「免疫学は人の病気に近い学問。できるだけ早く人の治療に役立つようにしたい」と医療応用への意欲を強調した。妻で研究者の教子さん(71)も出席。発見へ共に取り組んだとして「長い間、苦労してやってきた。形になって本当に良かった」と語った。
制御性T細胞は、体内で増やしたり減らしたりすることで、がんや自己免疫疾患の治療につながると期待されている。例えば臓器移植では、拒絶反応を防ぐ薬を使うと体の免疫全般を抑えてしまう。制御性T細胞を利用できれば特定の対象を狙うことができる。坂口さんは「より生理的な形での免疫抑制が可能になる」と説明した。
坂口さんは「会話がなくても何をやっているかお互い理解している。いつも感謝している」と教子さんをねぎらった。教子さんは、かつて制御性T細胞は存在そのものが疑問視されていたと指摘した。