7競技開催の幕張 着々と進む施設改修 人の流れ分散に課題も 【2020東京五輪 ちば総点検 祭典まで1年】(3)

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JR海浜幕張駅前にエレベーターとエスカレーターの新設が完了。正面の商業施設2階部分の屋外通路へ上りやすくなった
JR海浜幕張駅前にエレベーターとエスカレーターの新設が完了。正面の商業施設2階部分の屋外通路へ上りやすくなった
シッティングバレーなどの会場になる幕張メッセ5番展示ホールにはエスカレーターに加え、車いすでも乗降しやすいエレベーターを設置した
シッティングバレーなどの会場になる幕張メッセ5番展示ホールにはエスカレーターに加え、車いすでも乗降しやすいエレベーターを設置した

 2020年東京五輪・パラリンピック計7競技を受け持つ、千葉市美浜区の幕張新都心。幕張メッセで五輪開会式翌日の7月25日から競技が始まる。だれもが大会を満喫できる魅力的な祭典の舞台“MAKUHARI”を1年足らずで完成させなくてはならない。

 16年に県などが始めたメッセ大規模改修は順調で、本年度内にすべて終わる。このうちエレベーター5基増設は今月にも完了。かごの両側に扉があり、車いすでの乗降に方向転換が必要ない。人工肛門の人にも便利な「多目的トイレ」は12カ所増の45カ所になった。

 玄関口の海浜幕張駅前では市が設置したエレベーターとエスカレーターが稼働。周辺施設の2階部分とメッセをつなぐ屋外通路「スカイウェイ」を使うのに、炎天下の階段を上る必要はなくなった。街の外面は仕上がりつつある。

 一方、人の流れを分散させる取り組みの具体化は進まない。企業集積地の幕張エリアは選手や観戦客のスムーズな輸送も課題。県は時差出勤やテレワークを呼び掛けるが、動きは鈍い。同エリアの職場に約360人を抱える県企業局の対応は何も決まっていない。

 幕張で約1万人のグループ社員が働く流通大手イオンも、大会期間中の時差出勤などは検討していないという。通常のイベントの際も特に対応しておらず、「五輪・パラも同様で、大きな影響は出ないだろう」(同社)と見るからだ。

 音楽ファンには悲しい知らせも。今年20周年を迎えた毎夏恒例の大規模イベント「サマーソニック」は来年の開催を断念。会場となるメッセとマリンスタジアムが大会期間と重なり、使えない。出演者にホテルの部屋を確保できるかも見通せず、「(警備など)スタッフが集まらない懸念」(主催者)も踏まえ、決断に至った。21年以降は幕張で再開予定だが、開催が初めて途絶える事態となった。市によると、マリンではプロ野球も日程調整する予定という。

 例年8月の「ジャパンDIYホームセンターショウ」は来年の開催時期を後ろ倒しする予定。それぞれ主催者が開催見送りや時期・会場変更を迫られ、メッセが使えない影響はやはり大きい。イベントが神奈川や埼玉の施設に流出しないか、21年まで不安は残る。

 イベントを呼び戻し、新たな展示・商談会などの誘致合戦でも優位に立つには、幕張の価値向上というレガシー(遺産)づくりは不可欠だ。バリアフリー化に加え、大規模行事をそつなくこなす実力をアピールし、街の国際的な評価を高めるのに五輪・パラは絶好の機会。ラストスパートの時期に差し掛かっている。

(報道部・加藤 凱)