アライグマ、全域に 農作物被害2500万円 千葉県第2次防除計画長期戦、箱わな支援

千葉県内のほぼ全域で捕獲が確認されているアライグマ(県提供)
千葉県内のほぼ全域で捕獲が確認されているアライグマ(県提供)

 千葉県は、農作物被害や家屋侵入等の生活環境被害を引き起こす特定外来生物「アライグマ」の影響が県全域に拡大したとし、個体数を抑制し、さらなる分布拡大を阻止するため「第2次県アライグマ防除実施計画」を策定した。5カ年計画として2021年4月にスタート。長期目標には「県内からの完全排除」を掲げ、今計画期間では段階的な駆除を進めるとしている。

 同計画で、県内でのアライグマ野生化は1990年代後半に始まり、2003年度から有害鳥獣捕獲を開始したと説明。08年度には県南中心の18市町村だったが生息域は徐々に広がり、19年度は県内のほぼ全域で捕獲確認されたと明らかにした。

 生息域拡大に伴い「農作物被害」「家屋侵入等の生活環境被害」が増加。19年度の農作物被害は約2500万円に上った。生活環境被害は、20年度に37市町村が発生したと回答。うち24市町村は被害が増加傾向にあると答えた。

 被害を抑えるための捕獲数は増加傾向を示し、19年度は6240頭だったと記載。一方で「第1次計画期間(08~21年)を通じて捕獲強化が図られたが、このままの状態で推移すれば生息数のさらなる上昇を回避することは困難」と明記し、危機感を示した。

 現状を踏まえ、第2次計画では「千葉県でのアライグマ防除の最終目標は、全県での完全排除」と設定。ただ、短期間での達成は困難として「段階的に防除の成果を積み重ねて、完全排除を目指す」と長期戦を想定した。

 具体的な戦略として「捕獲体制の強化」を掲げた。県は市町村に対し、技術的・財政的な支援を継続して実施する。捕獲用「箱わな」の貸し出しや補助金交付、捕獲個体の殺処分などを行う。

 また、県はアライグマ駆除に積極的に取り組む市町村と連携し、モデル地区を設定。箱わな貸与数の上乗せや詳細なモニタリング調査などを実施し、他の市町村へ効果的な防除体制の普及につなげる。

◆キョン、アカゲザルに数値目標

 特定外来生物への対策を進める県は、シカ科「キョン」と「アカゲザル」についても、それぞれ第2次防除実施計画を策定。計画期間はアライグマと同じく、2021年4月からの5カ年。キョンは年間の捕獲目標を数値で示し、19年度末の推定生息数4万4千頭から1割減となる4万頭に抑える方針。アカゲザルは設定する「集中防除区域」で群れごとの全頭捕獲を進めるなどし、将来的には完全排除を目指す。

 県によると、キョンとアカゲザルはともに県南地域で生息域を拡大している。

 キョンの防除計画は、生息状況に応じ「増殖抑制地域」「分布拡大防止地域」などを設定し、増殖抑制地域で駆除を強化。年間捕獲目標を8500頭とした。

 館山、南房総両市に生息するアカゲザル防除計画は「集中防除区域」を設定し、群れごとの全頭捕獲を進める方針を示した。


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