ひっ迫する現場、いわれなき差別…それでも看護師目指す コロナ禍の専門学生「患者の力になりたい」 市原

介助のトレーニングをする(左から)寺嶋さん、伊藤さん、鈴木さん=市原市の千葉労災看護専門学校
介助のトレーニングをする(左から)寺嶋さん、伊藤さん、鈴木さん=市原市の千葉労災看護専門学校

 新型コロナウイルスの感染拡大でひっ迫する医療現場。過酷な労働環境に加え、いわれない差別とも闘う従事者だが、市原市の「千葉労災看護専門学校」の学生は「患者の力になりたい」「看護師への尊敬の念が強くなった」と地域医療を支えたいという情熱は冷めない。長期戦のコロナ禍はなお出口が見えないが、実習先の病院は「学生の志は高い。その気持ちを大事に育てたい」とエールを送る。(市原支局 坂巻洋一)

 千葉ろうさい病院に隣接する同看護学校は3年課程で、現在約130人が学ぶ。3千時間を超える授業時間のうち、医療機関や保健施設で行う臨地実習は1035時間。その約6割が3年生に集中する。

 同校3年の鈴木望来さん(20)は北海道出身。患者と家族に寄り添いたいと幼いころに看護師を志した。伊藤すずなさん(20)=福島県出身=は高校時代の看護体験がきっかけで、新生児のケアに意欲。寺嶋由萌さん(21)=南房総市出身=は看護師の母親の背中をみて、将来は助産師を目指している。

 3人が入学した2019年春はまだ、コロナの脅威は微塵もなかった。だが、昨年以降、猛威を振るうウイルスで市民生活は激変。ひっ迫する医療の現場も目の当たりにしてきた。

 今年5月17日、千葉ろうさい病院で鈴木さんら3年生の実習が始まった。実習現場は、感染防止に細心の注意を払い、食事の介助なども対策は必須。従来の実習と異なり、緊迫感は段違いだ。

 それでも3人は「看護師を断念しようとは思わない」と口をそろえる。「医療従事者として患者の力になりたい」(鈴木さん)、「医療ひっ迫は怖いが、感染リスクを負いながら働く看護師に対して尊敬の念が強くなった」(伊藤さん)、「感染の怖さはあるが、気持ちは変わらない」(寺嶋さん)。その信念が揺らぐことがない。

 全国的には離職者も相次ぐ看護師。理不尽な差別なども心配されるが、同校ではコロナを理由にした退学者はいないという。有馬絹代教務長(59)は「看護師を目指す姿勢に変化は起きていない」と安心する。

 ただ、履修環境は大きな影響を受けている。とりわけ3年生の実習は昨年、開始予定の4月が休校で6月にずれ込んだ。また、感染防止のため高齢者施設では行えず、それらを補う学内実習も取り入れた。本年度も外部講師の一部はオンラインでの授業だ。

 昨年と今年、同校を巣立った新人看護師計5人がコロナ専用病棟に配属された。過酷な現場でコロナ収束に向けた奮闘を続けている。同病院で看護部長も兼ねる青田孝子副院長(57)は「看護師を目指す学生は志が高い。その気持ちを大事に育てていきたい」と温かいまなざしを向ける。


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