「幕張の浜」の水難死亡事故、4年連続に 水難学会・斎藤会長「突堤は危険度高い」と警鐘 海濁り、深い場所も

3号突堤とその付近の水深。青で示した箇所では測量時に深さが2メートル以上あった(水難学会提供)
3号突堤とその付近の水深。青で示した箇所では測量時に深さが2メートル以上あった(水難学会提供)

 千葉市美浜区のZOZOマリンスタジアム近くにある人工海浜「幕張の浜」で、水難死亡事故が4年続けて発生した。いずれも現場は立ち入り禁止区域の突堤付近。昨秋、実際に現場を調査した水難事故を研究する「水難学会」の斎藤秀俊会長(58)=長岡技術科学大学大学院教授=は「突堤は危険度が高い。立ち入り禁止を強く周知する必要がある」と警鐘を鳴らす。海で遊ぶ機会が増える夏を前に、対策の徹底が求められている。

 千葉西署などによると、今年の事故は大型連休中の2日に発生。浜から沖に伸びる長さ約250メートルの突堤から海に飛び込んで遊んでいたとみられる男性会社員(19)が行方不明となり、海中から遺体で発見された。当時の現場の天候は曇り。気温は17度。風速は西の風14メートルだった。

 この突堤付近では2018~20年にも、高校生が死亡する水難事故が3年続けて発生し、計4人が死亡。昨年の事故後、突堤には立ち入り防止のフェンスが設置されていた。昨年10月に現場調査した斎藤会長は「対策が実施された後に同様の事故が起きてしまい残念」と顔をしかめる。

 斎藤会長によると、突堤付近には水深2メートル以上の場所が点在しており、「過去3年の事故はいずれも水深2メートル以上の場所で起きている」と説明。さらに、事故が起きた時の共通の条件として「風が強く吹き波が立つ。そして海に飛び込みたくなるような暖かい気候がある」とも指摘した。

 その上で「海水が濁っており、突堤の上からだと水深が分かりにくい。飛び込んだら予想以上に深い場所で、呼吸に失敗した可能性がある」と事故を分析。同学会は他にも要因があるとみて調査を継続している。

 千葉海上保安部によると、過去3年の事故が発生した当時の天候は、気温は30度~33度で、風速は4メートル~10メートルだった。担当者は幕張の浜がある千葉港の特徴について「南西を向いているため、沖から陸に風が吹きやすく、波が立ちやすい」と説明する。

 一帯を管理する県千葉港湾事務所は今年の事故を受け、同フェンスに立ち入り禁止の張り紙や鍵を増設。フェンスの追加設置や、フェンスを乗り越えられないよう有刺鉄線を敷設することも検討しているが、立ち入りを完全にシャットアウトするのは難しい。

 千葉海上保安部の職員が巡回時に声を掛けると、地元の中高生らは突堤付近の危険性を知っているが、周辺から遊びにきた若者らにまで浸透していないという。斉藤会長は「海はプールと違って急に深くなったりする。海の危険性をもっと広く知らせるべき」と訴える。

 2000年まで海水浴場が開設されていた幕張の浜。現在は砂の流出に対策が追いつかず遊泳禁止区域になっており、外部の目が行き届きにくい。千葉市は同浜を含む幕張海浜公園全体の移管を県に要望しており、海辺を生かしたまちづくりにつなげたい意向だ。市緑政課の担当者は「例年事故が起きていることは非常に残念。何らかの対策を県に求めていく必要はある」と述べた。


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