NZでロックダウン経験、コロナに翻弄の1年 一宮町の松田さん 「日本のリーダー、もっと前面に」

都市封鎖に遭ったニュージーランドでの経験について説明する松田さん=一宮町
都市封鎖に遭ったニュージーランドでの経験について説明する松田さん=一宮町
松田さんは「今年は北海道への帰郷をあきらめ、家族や愛猫と一宮で過ごすしかないかな」と話す
松田さんは「今年は北海道への帰郷をあきらめ、家族や愛猫と一宮で過ごすしかないかな」と話す

 春に渡航したニュージーランドで都市封鎖(ロックダウン)に遭い、その後半年間足止めを余儀なくされた。生まれ育った北海道には、今冬は帰郷できそうにもない。一宮町のスポーツコーディネーター、松田憲幸さん(69)は「新型コロナウイルスに翻弄(ほんろう)された1年だった」と振り返り、コロナ封じ込めに成功したとされるニュージーランドでの経験を踏まえ「日本のリーダーはもっと前面に出て、国民に感染防止対策を訴えていいのでは」と指摘している。

 元高校教員の松田さんは長生地域で子どもたちにラグビーを教えながら、10年以上前からニュージーランドを訪れ、ラグビーなどのスポーツを通じた交流を続けてきた。来年、孫が現地の中高一貫校に入学する予定で、準備などのため3月16日にニュージーランドに向かった。

 「出て行け」。予約していたホテルに到着すると、いきなり店主に怒鳴られ追い出された。これまで何度もニュージーランドを訪問してきたが「あんな差別的な扱いを受けたのは初めて。コロナの感染が拡大していたアジアからの客を警戒したのだろう」。

 すぐに都市封鎖が始まり途方に暮れていた松田さんは、知人の紹介で何とか滞在先を確保することができた。都市間の移動は厳しく制限されたものの、宿泊施設周辺の外出は許可されていたという。「ロックダウンは怖いものではない」と説明し「ニュージーランドでは首相がたびたびテレビなどに出て、感染経路の遮断を国民に強く呼び掛けていた」と振り返る。

 日本への直行便の旅客機はなくなり、何カ国も経由して帰国する邦人もいた。ただ、飛行機代や各地での滞在費用などが必要となるため、松田さんは他国経由での帰国を断念。当初は3カ月ほどの滞在予定だったが、一宮町の自宅に戻ることができたのは10月に入ってからだった。

 帰国すると、国内では再び感染が広がり出していた。一方、政府が主導するGo Toキャンペーンも始まった。松田さんは苦境に陥る観光産業や飲食業への支援策に理解を示しながらも「感染が拡大しているのに移動を促すような政策を取っている。日本のリーダーには説得力がない」と指摘する。

 高校時代、インターハイのスキー競技で優勝経験がある松田さん。スキーの技術を生かし、毎年年末年始には故郷の北海道で子どもたちの指導を引き受けてきた。現地で年を越し、親せきや友人と過ごす時間も楽しみにしていたが、北海道ではまた感染者が増えており「古里なので行きたいが、今年は帰郷を断念するしかないかもしれない」と声を落とす。

 新型コロナの収束にめどが立たない中で迎えた異例の師走。ニュージーランド滞在中、現地のラグビー仲間が掛けてくれた言葉を忘れていない。「ギブアップじゃない。今は耐える時。落ち着き、どっしりと構えるしかない」


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