「偽装出生」摘発難しく 鑑定なし、聴き取りのみ 背後に偽装結婚も横行?

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 外国人同士の間に生まれた子どもを「父親は日本人」と偽り日本国籍を取得する“偽装出生”。県警は先月、虚偽の出生届を役所に出したとして東金市に住む韓国人の母親と九十九里町の日本人男を逮捕した。こうした犯罪の背景には、横行する偽装結婚のほか、DNA鑑定などを行わず、聴き取りのみの事実確認という現状があり、摘発を難しくしている。

 電磁的公正証書原本不実記録・同供用と国籍法違反の疑いで逮捕されたのは韓国人の無職女(42)と日本人の会社員の男(52)。

 2009年6月に結婚した2人は翌7月、女が韓国人男性との間にもうけた女児=当時3歳=を2人の子どもと偽り九十九里町役場に出生届を提出、日本国籍を不法に取得した疑いが持たれている。

 「2人は偽装結婚」との情報が東京入国管理局から寄せられ、母子手帳の父親の欄に韓国人男性の名前があったことから発覚。女は十数年前にビザが切れていたという。

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 日本人男性と外国人女性の間に生まれた子どもについては、市町村に出生届を出し、法務局で国籍取得届が受理されれば、日本国籍を得ることができる。

 市町村の窓口では戸籍から婚姻関係をチェックし、医師による証明書から母親を確認するのが限界。県内関係者は「父親を確認するすべはない」と話す。

 事件の舞台となった九十九里町住民課も「書類を見る限り疑いを持つようなことはなかった」と振り返る。すでに女児が3歳だった点も両親から理由を聞き例外規定に該当すると判断、受理に至ったという。

 一方、国籍取得届を受理する法務局は原則、両親に対しこれまでの生活状況などを聴き取り調査し婚姻・親子関係などの事実を確認するが、DNA鑑定などは行われない。

 2人から届け出を受けた千葉地方法務局(千葉市中央区)も、日本人男と韓国人女に対しても同様に調査を行った結果、「事実が合わないという所まではいかなかった」(同局戸籍課)。

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 逮捕された韓国人の女は「(自身の)在留資格の手続きについて知人にお願いした」などとも供述。事件の背後には偽装結婚をあっせんするブローカーが存在する可能性もある。

 昨年12月には、中国人女性の在留資格を得るため日本人の男との偽装結婚を十数件繰り返していたとして、市原市の会社員ら男女4人が逮捕されている。

 入国管理局申請取次も行う柏市の行政書士、東谷裕壮さんは「周辺調査で真偽を証明することはできない」と聴き取り調査のみの判断に限界があると指摘。

 その上で「夫婦の歴史を語ってもらい、そこで出てくる登場人物に話を聞くなどいろいろな角度から調べることもできる」と偽装防止策について紹介する。