千葉県内文化財239件被害 10数億円、大震災超え最悪か 【台風・豪雨】

国指定の史跡の長柄横穴群では、相次ぐ災害による倒木で見学路がふさがれた=1日午後1時25分ごろ、長柄町徳増
国指定の史跡の長柄横穴群では、相次ぐ災害による倒木で見学路がふさがれた=1日午後1時25分ごろ、長柄町徳増

 9、10月に続いた台風や記録的豪雨により、千葉県内文化財の延べ239件が被害を受け、被害額は10数億円に上る見込みであることが県教委への取材で分かった。強風による倒木が多く、台風15号の後、19号で再度被災したケースもあった。県内文化財の被害件数や被害額は東日本大震災を上回り、過去最悪となりそうで、県は国などと連携して修復を進める方針。

 県教委によると、先月末時点で把握している被害件数(重複あり)は台風15号で200件、19号で27件、豪雨で12件。調査により増える可能性がある。

 特に被害が甚大だったのは、15号による「神野寺表門」(君津市)の倒壊。国指定重要文化財に指定された際の資料などを参考に、無事だった部材を組み合わせて再建するが、費用はこの1件だけで数億円規模になると見込まれる。

 国指定の史跡で、崖面に掘られた古墳時代の墓「長柄横穴群」(長柄町)では15号による多数の倒木が見学路をふさいだ上、19号でも新たな倒木や安全柵の破損などの被害を受けた。町内では豪雨で家屋への浸水被害が出ており、町生涯学習課の松本昌久課長は「住宅が優先で横穴群の復旧のめどは立っていない」と説明する。

 大雨被害では、国天然記念物の地磁気逆転地層(チバニアン、市原市)で、養老川の増水による土砂堆積や見学路の破損などの被害があった。地層本体には被害がなかった。

 被害内容では倒木が特に多く、建築物の屋根瓦や窓の破損、土砂崩れのほか、国天然記念物の大木の枝が折れるなどの被害もあった。

 2011年の東日本大震災では、県内で71件の文化財が被災し、被害額は10億7800万円に上った。佐原地区(香取市)の伝統的建築物で屋根瓦や壁面の破損など建物被害が主だったこともあり、復旧費用もかさんだが、県教委は「感触としては今回の台風・大雨の方が被害額が大きくなりそう」(文化財課)と見ており、県内では過去最大級の文化財被害となる可能性が高い。

 県教委は今後、被害状況の把握を続け、県議会に復旧費用の予算を示す方針。文化財修復費用は国や市町村、所有者で分担する原則で、負担割合などについても文化庁と協議を進める。


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