文化財被害187カ所 損壊、倒木復旧遠く 【台風15号 被災地はいま】

台風15号の影響で全体が右に傾いた本殿=市原市中高根の鶴峯八幡宮
台風15号の影響で全体が右に傾いた本殿=市原市中高根の鶴峯八幡宮

 台風15号の影響で、千葉県内の文化財は大きな被害を受けた。県教育委員会によると、指定文化財や記念物など187カ所で建造物の損壊や倒木を確認。指定文化財以外にも歴史的な神社仏閣の一部が強風で傾いたなどの被害も数多い。修復には時間と費用を要することになりそうだ。

 市原市中高根の「鶴峯八幡宮」では、江戸末期に建設された本殿の全体が強風により、ねじれるように傾いた。修復には一度解体が必要で、費用確保を含めると復旧には時間がかかりそうだという。

 禰宜(ねぎ)の露崎忠正さん(29)は「使える部分を使用しながら、現在の規模で再建したい」と話す。今後、神社の責任役員や氏子総代などの関係者と再建について話し合う予定。

 このほか、樹齢約300年の夫婦杉(二のご神木)などの倒木被害もあった。

 同神社は、鎌倉時代の建治3(1277)年の創建。「関東三鶴」の一社として信仰を集めている。今月20日の秋季例祭では、県指定無形民俗文化財の十二座神楽が奉納される。

 台風15号では、鹿野山神野寺(君津市)の国指定重要文化財の「表門」が倒れた。建設は室町時代。強風で柱が折れて、上部のかやぶき屋根ごと崩れ落ち、現在はブルーシートが掛けられている。

 「最初に見たときは言葉が出なかった」と副住職の岩間照種さん(47)。寺では道場や本堂など表門を含めて九つの建物が破損し「被害が数億円に上るのは確実」と明かす。倒木も多く、ボランティアに協力してもらい片付けを進めている。

 周辺地区では停電や断水が約2週間続いたといい、岩間さんは「参拝客が回復しないと地区に影響する。被害はつらいが早期復旧に努力したい」と話した。

 国内最大級の縄文時代の集落跡とされる国の特別史跡「加曽利貝塚」(千葉市若葉区)では、数本の木が根元から倒れた。同市教委によると、発掘調査区域に影響はなかったが、倒木で掘り返された貝殻などは保管し、周辺の土は埋め戻すという。

 県教委によると、専門知識を持った職員がおらず、調査が進んでいない自治体もあり、被害件数は今後も増える可能性がある。文化庁の担当者は「個々の被害の状況や要望を確認しながら、支援を考えていきたい」としている。


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