波乗った!!歓喜の2秒 記者がサーフィンの魅力体感 五輪会場の一宮  【2020年東京オリ・パラ】

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「自称2秒」波に乗った瞬間=9日、一宮町の一宮海岸
山本さん(右)からボードのこぎ方を教わる記者=一宮町のサーフショップ「HIC」

 2020年東京五輪で追加種目に決まった「サーフィン」。実際に波に乗ればサーフィンの魅力が分かる-との誘いを受け、五輪で大会会場となる一宮町が開いた「報道関係者向け体験会」に参加した。波乗りの難しさにもどかしさを抱きながらも「自称2秒、波に乗った」。翌日喜んで上司に報告すると「2秒じゃ乗ったって言えない」と軽くあしらわれたが、しっかりと魅力は受け止めた。25歳の初心者が挑んだ“夏の一日”をリポートする。

(社会部・町香菜美)

 早朝は雨雲だったが、一宮に近付くにつれて晴れ空になった9日。体験会に集まった新聞、テレビの記者ら11人を同町職員は「人生変わりますよ」と心躍る言葉で迎えてくれた。「サーフィンのため」と前の仕事を辞めて移り住んだ町職員がいるといい、思えば記者の周りに早朝波に乗ってから出勤するタフな上司も。そこまでの魅力って-。サーフショップの協力でレッスンが始まる。

◆イメトレでは“万全”

 一宮海岸まで徒歩3分のショップ「HIC」のオーナー、山本武さん(60)に教えを請う。サーフィン歴は40年という。

 気温は32度。水着の上に、ウエットスーツを着込むとじわり汗。山本さんの熱いサーフィン講義に体感温度がまた上がる。

 山本さんによると、サーフボードは「正しい位置で腹で支え、バランスを崩さないのが大切」。大きなコンタクトレンズに腹ばいになるイメージだ。手で水をかきボードを進める「パドリング」は、ボールを投げるように水を押し出す瞬間に力を入れるのがコツ。

 講義を聴きながらのイメージトレーニングは続く。波に乗ってボードに立つシーン。山本さんのたとえ話は止まらない。「運動会のリレーでバトンを受ける感じ」。波の様子を理解してうねりを読み、スピードに合わせて立ち上がる。目線は自分とボードの走る先…。イメトレでは、完全に波を支配し、乗っている感じはつかんだ、はず。

◆波待ち「テイクオフ」

 現実の世界に戻り、約270センチのボードをかついで海へ向かう。初心者は安定感のある「ロングボード」が扱いやすい。山本さんと一連の流れをおさらいしてサーフショップの従業員に連れられ、ボードに腹ばいになって沖へ。
 途中何度も波を受け、少しの恐怖感。それでもしっかりボードをつかむと海に落ちることはない。目的の場所に着くと、山本さんが「合図して立ったら下を向かず、砂浜の階段を見て」と遠くを見るよう指示。砂浜を見つめ、波を待つ。

 いい波が来た。山本さんの合図でパドリング開始。少しずつ自分でこぐ感覚と違い、波が押し出してくれる。「用意」の掛け声に合わせ、腹より下の位置でボードをつかむ。「テイクオフ!」で左足を前に出し、ゆっくり立ち上がった。

 スーッ。世界が静まり返った。音が遠くに聞こえ、これまでの人生が走馬灯のように駆け巡る-はずだった。「ザボン」。気が付くと波に巻き込まれ海の中。立った時間は「自称2秒」。悔しさがこみ上げ、海水のしょっぱさが追い打ちを掛ける。

◆初心者はレッスンを

 砂浜に戻ると、自然に肩で息をしていた。想像以上に体力を使ったが、心地良い疲れ。ボードひとつで自然と一体になれる。「次はもっと長く波に乗る」と意気込んだ2本目は、あっという間に海へダイブ。ボードの立ち位置が悪かったのに気付くのは、随分たってからだった。

 あっという間のレッスン2時間。仕事で来たのに仕事を忘れた。「プロでも素人でも、サーフィンで得る喜びは一緒」。熱く語る山本さんは、また一人の素人に喜びを教えてくれた。ただ、「危ないのを理解して乗ってほしい」と初心者にはレッスンを勧める。

 「次はいつ来よう」。体験リポートを書きながら、サーフィンの魅力をジワリと感じた。