学校プール全廃へ調査 老朽化で“水泳”民間委託 本年度佐倉市 事業の可能性検証

  • LINEで送る

佐倉市が導入している民間スイミングクラブによる小学校の水泳授業。好評なことから、民間活力を活用した学校プールの全廃・集約化を検討する(市提供)
佐倉市が導入している民間スイミングクラブによる小学校の水泳授業。好評なことから、民間活力を活用した学校プールの全廃・集約化を検討する(市提供)

 佐倉市は市内の全小中学校のプールを廃止し、市民プールの共同利用と民間指導委託による水泳授業を行う再編事業を検討している。各学校のプールの老朽化が著しいことから、集約を進めるとともに、民間活力も導入し、維持管理などのコスト削減や水泳指導の質の向上を図る狙い。本年度、調査を行い、事業の可能性を検証。実現すれば全国でも珍しい事例となり、注目を集めそうだ。     

(佐倉支局・平口亜土)

 市内には小学校23校、中学校11校がある。このうち佐倉小は2013年度、西志津小は14年度にプールを廃止し、民間のスイミングスクールに水泳指導を委託している。学校のプールを改修して使い続けるのに比べて30年で約9千万円のコスト削減につながるほか、「充実した指導で泳力が身についた」などと児童や保護者の反応も良好だ。

 そこで、取り組みを拡大しようと全プールの集約化を検討することにした。検証のための調査を行う事業者を公募型プロポーザル方式で選定。今月27日まで参加を募集しており、8月に審査・選定する。来年1月末までに調査報告書を作成。その後、市として方針を決める考えだ。

◆屋内・温水で通年

 市資産管理経営室によると、現状の32カ所の学校プールの平均築年数は約36年と老朽化が進んでいる。その上、屋外のため利用が天候に左右され、利用期間も夏場の2カ月に限られるなどの課題があった。

 再編後のイメージでは、岩名運動公園と上座総合公園にある屋外市民プール2カ所をPFI(民間資金活用)などの手法で屋内・温水プールへと改修し、通年利用できるようにする。学校とプール間の移動は送迎バスで実施。水泳指導は民間委託し、指導の質向上を図る。

 本年度行う調査では、市民プールの改修費や運営費、指導の民間委託費、送迎バス導入費、学校プール解体費などを合わせた再編に伴うコスト総額を試算。現状のままの場合に見込まれるコストと比較した上で、事業の実現可能性を判断することになる。

 学校プール全廃・市民プールによる水泳授業は、神奈川県海老名市も11年から実施しているが、授業は教員が行っており、指導の民間委託も含めた再編事業は全国的にも珍しい。

◆近隣と広域連携も

 市は、八千代市や四街道市の公営プールを利用料を支払って活用するなどの広域連携も視野に入れる。「二つの市民プールだけでは容量的に対応しきれない可能性もある上、市内より市外のプールの方が近い学校もあるため」と同室の担当者は説明する。

 既に2校で実施している水泳指導の民間委託は、全国の自治体関係者が視察に訪れるなど関心が高い。人口減が見込まれる中、既存の公共施設をどう活用していくのかは、どの地域も共通する課題。全校のプール再編が実現すれば、注目度はさらに増しそうだ。

 同室の担当者は「これからの時代、公共施設は量の適正化を図り、維持管理などのコストを減らしていく必要がある。他の地域にも取り組みが広がるようなモデル事業にしていければ」と話している。