アニサキス食中毒急増 10年で被害20倍 千葉県内でも毎年報告 加熱、冷凍呼び掛け

 魚介類を生のまま食べ、寄生虫「アニサキス」による食中毒になったとの被害報告が増えていることが厚生労働省への取材で分かった。2007年の6件から、16年は20倍超の124件に増加。千葉県内でも13年以降は毎年被害があり、昨年、今年も1件ずつ報告があった。激しい腹痛などの症状が出るといい、厚労省は、加熱や冷凍を求め、生で食べる前には目視で確認するなどの対策を呼び掛けている。

 厚労省は報告件数の増加について、13年から食中毒の発生統計で「アニサキスによる食中毒」の集計を始めたため実態把握が進んだとし、担当者は「被害が多い状況が確認できた」と話す。

 県や県内の3保健所によると13年以降の県内の被害状況は、13年に3件、14年5件、15年2件と、毎年確認されている。

 昨年12月には、柏市のスーパーでアジなどの刺身の盛り合わせを購入して食べた40代男性が腹痛などの症状を訴え、胃からアニサキス中体が摘出された。同市は刺身が原因の食中毒と断定し、同店を2日間の営業停止処分にした。

 今年に入っても、3月に市川市の魚介販売店で買ったサーモンやサバの刺身を食べた女性(34)が腹痛を訴え、アニサキス中体が摘出された。同市も刺身が原因の食中毒と断定し、同店は2日間の営業停止処分を受けた。

 県衛生指導課は、食中毒が増える6月1日に食中毒注意報を発令する予定。保健所を通じ、食品衛生協会や市町村などの関係団体にアニサキス被害も含めた食中毒の情報を周知し、予防の徹底を図るという。

 国立感染症研究所寄生動物部の杉山広前室長によると、05~11年に医療機関を受診した約33万人分のレセプト(診療報酬明細書)を基に計算すると、年間発生数は約7千件に上ると推計される。魚介類の流通事情が変化し、冷凍でなく生の状態で取引されるケースが増えたことも被害増加の要因と考えられるという。

 厚労省はホームページで(1)新鮮な魚を選び、速やかに内臓を取り除く(2)内臓を生で食べない(3)目視でよく確認し、取り除く-といった注意点を示している。

 ◇アニサキス 寄生虫の一種で、幼虫がサバやカツオ、サケ、イカ、サンマなどに寄生。魚介類が死ぬと内臓から筋肉に移動する。幼虫は長さ2~3センチ、幅0・5~1ミリくらいで、白い糸のように見えるのが特徴。寄生した魚は十分に加熱するか、マイナス20度以下で24時間以上冷凍すれば問題ないが、刺し身など生で食べた場合は人の胃壁や腸壁をアニサキスが刺すなどして、みぞおちの激しい痛みや腹膜炎症状を引き起こす。酢で締めたり、しょうゆを付けたりしても予防効果はないという。専門家によると、放置しても人の体内では3~4日程度で死ぬが、痛みが激しいため、医師の診断を受け、内視鏡により取り除くことが推奨されるという。


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