幻のイソギンチャク発見 海の博物館の研究員ら 100年ぶり確認、標本展示

採取された直後のヨウサイイソギンチャク(海の博物館提供)
採取された直後のヨウサイイソギンチャク(海の博物館提供)
展示されているヨウサイイソギンチャクの標本
展示されているヨウサイイソギンチャクの標本
ヨウサイイソギンチャクの解説パネルと柳研究員=勝浦市の海の博物館
ヨウサイイソギンチャクの解説パネルと柳研究員=勝浦市の海の博物館

 約100年前に見つかって以来確認されず、幻のイソギンチャクとなっていた「ヨウサイイソギンチャク」を、県立中央博物館分館「海の博物館」(勝浦市)の柳研介・主任上席研究員(49)が中心となった研究チームが確認した。「名前だけ一人歩きしていた存在だった。実物を確かめられてうれしい」と柳研究員。同博物館で標本や解説パネルを展示している。7月30日まで。

 ヨウサイイソギンチャクは直径1センチほどで、丸みを帯びたドアノブ形のような短い触手が特徴。1914年にスウェーデンの研究者が神奈川県三浦半島沖で2個体を採集し、40年になって新種として発表されたが、その後は確認されていなかった。

 研究チームは2014年2月、マリンバイオ共同推進機構によって三浦半島沖で行われた沿岸生物合同調査で、水深238~309メートルの海底で取った石や泥の中からイソギンチャク1個体を採取。柳研究員らがスウェーデンの博物館にある最初に見つかった2個体の標本を調査・研究していたことから、そのデータと比較するなどしてヨウサイイソギンチャクと特定した。

 研究成果が今月17日付の日本動物分類学会の国際学術誌オンライン版に掲載された。

 柳研究員によると、長年確認されなかった理由について▽小型であるため十分に触手が伸びた状態で観察する必要がある▽最初の論文でヨウサイイソギンチャクについての記述は十数行程度で、図など詳細な形態が記されていない▽研究者が少ない―ことが考えられるという。

 今回も採取当初は分からなかったが、柳研究員がスウェーデンから帰国後、他の研究者と採取直後の写真を見直していて似た特徴があることに気づき、調査を始めた。

 千葉県沖の太平洋は潮流の関係から多様なイソギンチャクが生息しており、昨年は鴨川沖で見つかったものが新種だったと発表があった。日本はイソギンチャクの研究が進んでおらず、柳研究員は「今後も多くの個体を見つけ、日本にどんな種類がいるのか明らかにしていきたい」と話した。


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