人間の内面世界表現 画業50年軌跡たどる 袖ケ浦市郷土博で中島敏明展

「elegyと慈愛」をテーマに作品が並ぶ中島敏明展=袖ケ浦市郷土博物館
「elegyと慈愛」をテーマに作品が並ぶ中島敏明展=袖ケ浦市郷土博物館
作品の前に立つ中島敏明さん
作品の前に立つ中島敏明さん

 袖ケ浦市在住の画家、中島敏明さん(72)の50年にわたる画業の軌跡をたどる企画展が、市郷土博物館で開かれている。「elegy(エレジー)と慈愛」をテーマに、厳かな絵肌と温かみのある色彩で人間の内面世界を表現した69点が並ぶ。18日まで。

 市制施行30周年記念事業の一環として企画された「袖ケ浦の美術 中島敏明展」。初期作品をはじめ、「elegyの世界」、「慈愛の世界」へと続く3部構成。100号(縦162センチ、横130センチ)を超える大作を含む油彩を通して創作の軌跡を振り返るほか、制作過程の筆遣いをうかがわせるエスキース(素描)も披露する。

 中島さんは、福島県南相馬市生まれ。1972年に二科展初入選。81年に袖ケ浦市にアトリエを構えた。2002年には同展で内閣総理大臣賞を受賞。現在、二科会理事、千葉県美術会常任理事を務める。

 メルヘン調の夢の世界に突き進んだ20代、内面描写を追求し続けた30代、そして「elegyと慈愛」をテーマに、40代以降は社会情勢や家族を通して精神性を捉えようともがいた。

 変化する作風を通して目を引くのが、抽象化された人物画。柔らかな曲線と暖色を用い、「elegy」という人生の悲哀の象徴を温かみと優しさに包まれた表現で掘り下げた。抱き合う母子像のシリーズを中心に「慈しみ」に満ちた作品が見どころとなっている。

 東日本大震災後、被災した故郷に支援のため何度も足を運んだ。衝撃の大きさは「elegy-3・11『蹲(うずくま)る』」「屍(しかばね)」となり、悲しみを超えた強い思いは「慈悲『黒い海』」などの作品になった。

 地下鉄サリン事件、阪神大震災、熊本地震のモチーフや、亡き妻をモデルとした作品も。中島さんは「長い間、人生の悲哀を模索しながら描き、elegyと慈愛が合体した」と語る。

 午前9時~午後5時。入場無料。問い合わせは市郷土博物館(電話)0438(63)0811。


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