八千草薫さんの遺徳しのぶ 愛用品展示、種まきも 一周忌で企画 長南「森の墓苑」

八千草薫さんが自宅に設置していた巣箱を持つ管理担当の白井孝賢さん。後ろが在来野草が育つ「八千の草はら」=長南町の森の墓苑
八千草薫さんが自宅に設置していた巣箱を持つ管理担当の白井孝賢さん。後ろが在来野草が育つ「八千の草はら」=長南町の森の墓苑
八千草薫さんが愛用した登山靴とピッケル。靴を入れた箱に直筆の絵が描かれている
八千草薫さんが愛用した登山靴とピッケル。靴を入れた箱に直筆の絵が描かれている

 樹木葬による里山の再生に取り組む長南町市野々の日本生態系協会「森の墓苑」は、昨年10月に88歳で亡くなった元理事で女優の八千草薫さんの一周忌に合わせ、追悼企画を実施している。八千草さんの愛用品や写真を展示。来苑者からメッセージを募るボードを設置し、野草の種まきなどを行う。25日まで。

 管理棟に展示している登山靴、ピッケルは、八千草さんがネパールを訪れた時の思い出の品。靴の箱の裏には、直筆の絵が描かれている。写真集に掲載していないオフショットや、自然を愛する思いが伝わる文章も並ぶ。

 自宅庭に置かれていた「幸運のベンチ」を墓苑を見守る場所に展示。「八千の草はら」と名付けたビオトープでは、来苑者に在来野草「ウツボグサ」の種を配布し、播種(はしゅ)してもらう。

 希望者10人に巣箱キットを送付して組み立ててもらい、命日の24日に八千草さんが自宅で使用していた巣箱とともに設置する予定。これまでの巣箱にはヤマガラ、シジュウカラの営巣が確認されている。

 八千草さんは、20年間にわたり同協会の趣旨に賛同して理事を務め、生態系維持や自然保護活動に力を尽くしてきた。昨年5月には膵臓(すいぞう)がんと闘病中に同苑を訪れ、「昆虫の家」の除幕に参加。公の場での最後の姿になった。

 協会参事の佐山義則さんは「八千草さんが自然と生き物を愛していたことを、多くの人に知ってもらいたい」と話している。

 午前10時~午後4時、無料。土、日、祝日は職員が常駐しているが、平日(月曜休苑)の来苑は事前申し込みが必要。問い合わせは森の墓苑東京事務所(電話)0120(901)580。


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